東京・渋谷のICHIZEN HOLDINGSは、暗号資産取引の内部統制ツール「CRYPTO Governance」の本格提供開始を発表した。
会計処理に特化したプランは月額5,000円から利用でき、内部統制や運用支援を含むプランは個別見積もりとなる。
取引枠から監査証跡まで一元化
2026年6月15日に提供が開始された「CRYPTO Governance」は、企業の暗号資産取引に必要な管理業務を、取引前・取引中・取引後までつなげるシステムである。
ICHIZEN HOLDINGSによると、すでに上場企業複数社で実運用されており、今回のサービスサイト公開にあわせて外部提供を拡大した。
主な機能は、通貨や金額、宛先、有効期限を指定する取引枠管理、金額別の承認フロー、CEX・DEX・ウォレット・ノード資産の横断監視、API経由の取引執行、会計処理と監査証跡の作成で構成される。
承認済みの取引だけを執行できる設計とし、未承認や枠外の発注はシステム側で遮断する。
背景には、企業による暗号資産保有やDAT(※)事業の広がりがある。
暗号資産の取引記録は日常業務では問題が見えにくい一方で、Excel、チャット、取引所ログ、ウォレットなどに分散しやすく、決算や監査で「誰が、いつ、どの権限で、なぜ実行したか」を後から証明することが困難であるという。
同ツールは、取得原価や実現損益、ステーキング報酬などの仕訳を自動算出し、freee、マネーフォワード、勘定奉行、SAPなどの形式で出力できる。
会計フォーカスプランは初期費用無料、月額5,000円からで、内部統制プラン以上は伴走型支援を含む。
※DAT(デジタルアセット・トレジャリー):企業がビットコインなどの暗号資産を財務戦略の一部として保有・管理する取り組み。
内部統制前提の暗号資産管理が広がるか
本ツールのメリットは、暗号資産管理を大規模なカストディ基盤の導入だけに限定せず、企業の保有規模や事業段階に応じて整備しやすくできる点にありそうだ。
会計処理や監査証跡の管理から小さく始め、必要に応じて承認フロー、取引枠管理、執行管理へ広げられれば、暗号資産を扱う初期段階から内部統制を組み込む選択肢が増えるとみられる。
一方で、ツール導入だけで統制が完成するわけではないと思われる。
そのため、取引枠の設定、承認権限、会計方針、API連携先の安全性は各社の事業内容に合わせた設計が必要になるだろう。
暗号資産は価格変動が大きく、税務・会計上の判断も残るため、システム運用と専門家による確認を組み合わせる体制が求められそうだ。
今後、上場企業やIPO準備企業を中心に暗号資産の保有・活用が広がれば、取引の正当性や監査対応を説明できる管理ツールの需要は高まる可能性がある。
CRYPTO Governanceは、暗号資産を投機対象にとどめず、企業財務の一部として管理する流れを支えるための選択肢の一つになるかもしれない。
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