ディーカレットDCPは、ツルハホールディングスなど計9社が、流通BMSとトークン化預金「DCJPY」を用いた企業間決済・入金消込の自動化に向けた実証を行い、一定の連携確認を完了したと発表した。
国内流通業の受発注から債権管理までをつなぐ試みである。
流通BMSからDCJPY決済へ連携
2026年5月29日に発表された実証実験は、ディーカレットDCPが事務局を務めるデジタル通貨フォーラムのインボイスチェーン分科会において、本実証の趣旨に賛同した企業とともに実施された。
参加したのは、ツルハホールディングス、イオンスマートテクノロジー、池田泉州銀行、花王グループカスタマーマーケティング、サイバーリンクス、ミロク情報サービス、ディーカレットDCP、日立製作所、富士通の計9社である。
企業間の請求・支払業務では、受発注、請求、入金、債権管理などのシステムが分断されやすい。
売掛金と入金額、買掛金と請求額の確認、差分の解明や解消に多くの人的リソースが必要になる点が課題とされてきた。
実証では、ツルハグループが保有する花王グループカスタマーマーケティング向けの受領データと返品データを抽出し、インボイスチェーンへ送信した。
そのデータを基に商取引トークンを生成し、トークン化預金であるDCJPYによる支払いを行った。
その後、インボイスチェーンから債権管理システムとの照合に使う消込ファイルを生成し、机上で連携を確認した。
結果として、指定した締め日までの合算データに基づくDCJPY支払い、債権管理システム向け消込データの生成、対象システムでの消込可否の確認まで完了したという。
経理自動化に前進も実装範囲が焦点
今回の実証で評価できる点は、流通BMS(※)で扱う商取引データと、トークン化預金「DCJPY」による決済データを連動させ、企業間決済と入金消込の自動化に道筋を示したことだろう。
受発注、返品、請求、入金、債権管理が分断されている場合、経理部門は差額確認や消込作業に多くの時間を費やしやすい。
商取引データを起点に支払いデータや消込データの生成までつなげられれば、人的作業の削減や処理ミスの抑制につながるとみられる。
一方で、今回の実証は一部が机上確認であり、実運用で発生する例外処理にどこまで対応できるかは慎重に見極める必要があるだろう。
企業間取引では、返品、値引き、締め日違い、請求差異、取引先ごとの個別ルールなどが頻繁に生じる。
決済と消込の自動化を広げるには、システム連携だけでなく、企業間で業務ルールやデータ形式をそろえる取り組みも欠かせないと考えられる。
今後は、流通BMSをすでに利用する小売、卸、メーカーを中心に、企業間決済と経理処理の自動化を段階的に検討する動きが広がりそうだ。
短期的には、支払いデータの自動生成や入金消込の効率化など、経理部門の負荷が大きい領域から導入が進むと考えられる。
実運用で経理部門の作業時間削減が確認できれば、人手不足に悩む企業にとって有力な選択肢になり得る。
※流通BMS:流通ビジネスメッセージ標準の略。小売業と卸売業、メーカーなどの間で受発注や出荷、請求などのデータをやり取りするための標準仕様である。
関連記事:
企業の請求書支払い自動化へ DCJPYとPeppol連携の実証実験を4社が実施

金融庁、トークン化預金の銀行間決済実証を支援 送金インフラの次世代化へ

Pacific Meta、JPYC活用とAIエージェント決済支援開始 企業の決済DXを加速
