日産は長期ビジョンの中で、AIドライブ技術の搭載比率を全車種の約9割へ引き上げる方針を明らかにした。
AIディファインドビークルを中核に据え、AIドライブとAIパートナー技術を統合することで、移動の高度化と車内体験価値の向上を目指す戦略である。
AIドライブ搭載を9割へ拡大
日産は、2026年4月14日に公表した長期ビジョンにおいて、AIを軸とする「AIディファインドビークル(AIDV※)」を中核に据え、モビリティの知能化を加速させる方針を明確にした。
AIドライブ技術とAIパートナー技術の統合により、移動そのものを高度化し、車内体験の価値向上を図る構想である。
同社は長期的に、AIドライブ技術の搭載比率を全ラインアップの約9割まで引き上げる目標を掲げた。
こうした方針の具体化として、2026年夏に発売予定の新型エルグランドには、2027年度末までにエンド・ツー・エンドの自動運転を実現する次世代プロパイロットの導入が見込まれている。
また、AI戦略と並行して電動化戦略では、エンジンで発電した電力でモーターを駆動する日産独自の「e-POWER」を軸に、EV、HEV、PHEV、REEVといった複数のパワートレインを展開する。
市場ごとのニーズに応じた柔軟な選択肢を提供しながら、商品ポートフォリオを56車種から45車種へと最適化し、収益性と競争力の向上を図る構えだ。
※AIディファインドビークル(AIDV):日産がAIを中核に据えて展開する次世代車両構想。AIドライブ技術とAIパートナー技術を組み合わせ、移動の高度化と体験価値の向上を目指す。
AI化が生む価値と競争リスク
AIドライブ技術の普及は、安全性と利便性の向上という点で大きなメリットをもたらすと考えられる。
運転支援の高度化により事故リスクの低減が期待されるほか、移動時間をサービス利用やエンターテインメントへ転換できる可能性もある。
AIパートナー機能が日常生活に溶け込めば、クルマは単なる移動手段から体験価値を提供するプラットフォームへと進化するだろう。
一方で、開発コストの増大やソフトウェア競争の激化はリスク要因となりそうだ。
特に自動運転分野では、テック企業や新興EVメーカーとの競争が激化すると考えられるため、ソフトウェア主導の開発体制への転換が遅れれば競争力を損なう懸念もある。
また、各国の規制や安全基準への対応も技術展開のスピードを左右する要素になるとみられる。
今後は、日本・米国・中国を軸としたリード市場戦略のもと、AI技術と電動化の両輪で競争優位を確立できるかが焦点となるだろう。
商品ファミリー化による開発効率の向上と、グローバル市場での需要適応が進めば、持続的成長の実現につながる可能性がある。
一方で、技術投資と収益性のバランスをどう維持するかが中長期の課題になると言える。
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