SEMIは、2025年の世界半導体製造装置販売額が前年比15%増の1351億ドルに達したと発表した。
AI需要の拡大を背景に、先端ロジックやメモリーへの投資が市場成長をけん引した。
AI需要で装置市場が過去最高更新
2026年4月7日、SEMIからの発表によれば、2025年の半導体製造装置市場は過去最高を更新し、前工程・後工程の双方で成長が確認された。
特にウエハー加工などを担う前工程装置は堅調で、ウェーハプロセス装置は前年比12%増、その他分野も13%増となった。
AI関連半導体の需要増により、ロジックやメモリーの先端製造能力を拡張する動きが続いたことが背景にある。
後工程でも顕著な伸びが見られた。
AI向け半導体や高帯域幅メモリー(HBM※)の高性能化に伴い、検査装置の販売額は前年比55%増と急伸したほか、先進パッケージング技術の普及により組立・封止装置も21%増となっている。
前工程から後工程、検査・パッケージングに至るまで、半導体製造の各工程で投資拡大が進んでいる点が特徴である。
地域別ではアジアへの集中が一段と強まり、中国・台湾・韓国の合計で市場の79%を占めた。
台湾はAI・HPC需要を背景に過去最高を更新し、韓国もHBMやDRAM向け投資が拡大した。
日本も先端ノードの国内製造投資を背景に22%増と伸長し、存在感を維持している。
※HBM:High Bandwidth Memoryの略で、複数のDRAMチップを積層し高速かつ大容量のデータ転送を実現するメモリー技術。
AI需要拡大がもたらす構造変化とリスク
AI需要を起点に半導体製造装置市場が前工程・後工程の双方で拡大する流れは、今後も継続する可能性が高いとみられる。
特にHBMや先進パッケージングの需要増加は、装置メーカーの収益源を多層化させ、サプライチェーン全体の高度化を一段と促す展開になると考えられる。
日本の先端投資も、製造基盤の再評価につながる余地があるだろう。
一方でデメリットとしては、成長の中核がAI需要に偏る構造が続く場合、市場全体の変動リスクが高まる懸念がある。
AI需要の集中に加え、地域的にも投資が偏在している点は、技術トレンドの転換や景気減速の影響を受けやすい構造を強める要因となり得る。
また、設備投資の地域偏在は地政学リスクを内包しており、供給網の分断が顕在化する局面も想定できる。
今後は、生成AIやHPC向け需要を背景に投資拡大が一定期間続くと見込まれる。
その中で、前後工程を含めた統合的な製造能力の確保が競争力の差を生む軸となる可能性が高い。
装置メーカーには単一工程にとどまらない技術横断的な対応力が求められ、市場はより複合的な競争環境へ移行していくと考えられる。
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