日本総研とULSコンサルティングは、AIを前提とした開発体制の構築に向け包括提携を締結した。
企画から設計、実装までを再設計する「AIネイティブ開発」モデルを軸に、SMBCグループの金融DXと新規ビジネス創出の加速を図る。
AIネイティブ開発モデル構築へ、全工程を再設計
2026年3月26日、日本総研とULSコンサルティングは、4月から協業を開始し、AIを前提とした開発体制の構築に乗り出すことを発表した。
両社は、SMBCグループの金融サービス高度化と新規ビジネス創出に向け、技術力や知見を掛け合わせたデジタル変革を推進する。
こうした連携の背景には、金融サービスに対する高度化要求の高まりがある。
デジタル化やグローバル化による社会構造の変化を受け、金融領域ではより高度かつ柔軟な対応が求められている。
中核となるのは、AIを補助的に活用するのではなく、開発プロセス全体に組み込む「AIネイティブ開発(※)」モデルの確立である。
企画構想から設計、プロジェクト管理、実装に至るまで、AIを前提に再設計した開発標準を定義する方針だ。
加えて、開発を支える組織体制や開発プラットフォーム、ナレッジベースの整備を進める方針である。
また、生成AIを活用できる専門人材の育成やリスキリングにも注力し、ビジネスアナリストやITアーキテクトといった高度人材の強化を進めるとしている。
※AIネイティブ開発:AIを補助的なツールではなく開発の中核に位置づけ、企画構想から設計、プロジェクトマネジメント、実装までの工程をAI活用前提で再設計する開発モデル。
金融DX加速の鍵と人材課題
本提携の最大のメリットは、AIを中核とした開発体制の確立により、金融サービスの高度化と新規ビジネス創出を同時に推進できる点にあるだろう。
特に、AIネイティブ開発の導入により、開発スピードの向上や仕様変更への柔軟な対応が可能となり、競争力強化に寄与する可能性が高い。
また、ナレッジの蓄積と共有が進めば、組織全体の開発力底上げにもつながると考えられる。
一方で、課題としてはAI前提の開発を担う人材不足が挙げられる。
高度なスキルを持つ人材の育成には時間を要し、リスキリングの成果が短期的に現れるとは限らない。
さらに、AI活用の拡大に伴い、セキュリティやガバナンスの確保も重要な論点となりそうだ。
金融領域では特に、信頼性と透明性の担保が不可欠であり、慎重な運用設計が求められるだろう。
今後は、個別プロジェクトの実践を通じて両社のノウハウが融合し、AI活用の実効性がどこまで高まるかが焦点になるとみられる。
SMBCグループ内での成果が明確に示されれば、他の金融機関や産業領域への波及も期待できる。
AIを前提とした開発モデルが標準化されるかどうかが、国内金融DXの進展を左右する重要な分岐点になる可能性がある。
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