Preferred Networks(PFN)、インターネットイニシアティブ(IIJ)、北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)は、千葉県白井データセンターに水冷方式のAI計算基盤を導入する。
同基盤は水冷方式を採用し、高密度処理と省エネの両立を狙う。
水冷AIデータセンターが稼働へ
2026年3月23日、Preferred Networks(PFN)、インターネットイニシアティブ(IIJ)、北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)は、国の支援事業の一環として開発してきたAI計算基盤を、千葉県の白井データセンターに導入し、4月から本格運用を開始する。
背景には、AI需要の急拡大に伴う電力消費の増大と、経済安全保障の観点から国産AIインフラの確立が求められていることがある。
本テストベッドでは、省エネ指標の策定と評価に加え、運用を通じた実用性の検証を進めることで、環境負荷の小さい持続可能なAI計算基盤の実現に向けた知見の蓄積を図る。
このデータセンターの中核となるのは、サーバーを空気ではなく水で冷却する「直接水冷方式」である。
発熱量の大きいAIサーバーを効率的に冷やすことで、高密度な設置と電力消費の抑制を両立できる点が特徴だ。
システム面では、2025年に試験運用された設備をベースに改良が加えられており、実運用を想定したAIワークロードを用いて、性能や運用性の検証を行う。
PFNが開発するAI向け半導体「MN-Coreシリーズ」や高速ネットワーク技術を組み合わせ、実運用を前提としたデータセンターの標準モデル構築を目指す。
さらに、省エネ設計として外気を利用するフリークーリング(※)を採用し、冷却にかかる電力消費を抑制する仕組みとした。
水冷と空冷を組み合わせたハイブリッド構成や効率的な電力供給方式も取り入れることで、システム全体のエネルギー効率を高めている。
※フリークーリング:外気などの自然の冷たさを利用して機器を冷やす方式。電力を多く使う冷却装置の使用を減らし、省エネにつながる。
電力効率が握る次世代データセンター
本取り組みのメリットは、AIインフラの評価軸が処理性能に加えて電力効率へと広がる契機になり得る点にある。
直接水冷は空冷よりも高い冷却効率を実現し、消費電力を抑えながら高密度な計算処理を可能にするだろう。
電力制約が顕在化する中、この方式は次世代データセンターの有力な選択肢として定着していく可能性が高い。
一方で、水冷技術の普及にはハードルも残る。
設備導入や保守には専門的な知見と初期投資が求められ、既存の空冷施設からの移行は容易ではないとみられる。
また、AI半導体やソフトウェアとの最適化が不十分な場合、期待された省エネ効果を十分に引き出せない懸念もある。
今後は、実証を通じて得られる運用データを基に、より標準化された導入モデルが整備されていくと考えられる。
コストと効率のバランスが取れたインフラが確立すれば、企業のAI活用は一段と広がるだろう。
電力問題が成長のボトルネックとなる中、省エネ技術の進展が競争力を左右する局面へ移行していくとみられる。
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