国内ソフトウェア企業のアステリアは、日本円建ステーブルコインJPYCの会計監査を支援するツール「JPYC Explorer」を2026年4月1日から提供すると発表した。
合同会社暗号屋と共同開発したもので、企業や監査法人がブロックチェーン上の取引を自ら検証できる環境の整備を狙う。
JPYC監査を支援する検証ツール公開
3月13日、アステリア株式会社は、日本円建ステーブルコイン(※1)「JPYC」の会計監査を支援するツール「JPYC Explorer」を合同会社暗号屋と共同開発し、4月1日から提供すると発表した。
ブロックチェーン上で行われるステーブルコイン取引の実在性を、企業や監査法人が自ら検証できる仕組みを提供することが目的だ。
JPYCは、JPYC株式会社が2025年10月から発行している日本円建てのステーブルコインであり、低コストかつ高速な送金・決済手段として注目を集めている。
上場企業や地方公共団体がJPYCを業務利用する場合、ブロックチェーン上の取引を会計監査の観点から検証できる体制が求められる。
そのため、監査対応の仕組みが課題となるケースもあった。
今回のツールは、ブロックチェーン監査ツール「Lensa」の実績を持つ暗号屋と共同開発したもので、監査法人や企業が自社構築・自社管理型フルノード(※2)を通じて取引データを直接取得し、検証できる環境を提供する。
外部API(※3)や第三者サービスに依存せず、取引履歴を自社の管理下で検証できる点が特徴とされる。
さらに、複雑なブロックチェーンデータを直感的に把握しやすい形で可視化し、監査業務の効率化にもつなげる。
対応するステーブルコインはJPYCのほかUSDCなどを予定しており、AvalancheやEthereum、Polygonなど複数のブロックチェーンに対応する。
アステリアと暗号屋は今後、JPYC株式会社と連携しながら企業でのJPYC利用を支える監査環境の整備を進める方針である。
※1 ステーブルコイン:法定通貨の価値に連動するデジタルな決済手段で、日本では一定のものが電子決済手段に位置付けられる。
※2 フルノード:ブロックチェーンの全履歴を保持し、取引やブロックの正当性を独自に検証できるコンピュータ。
※3 API:ソフトウェア同士が機能やデータを連携するためのインターフェース。
ステーブルコイン監査インフラ整備が企業利用を後押しか
今回のツールは、ステーブルコイン利用に伴う監査プロセスの透明性を高める可能性がある。
自社ノードから直接データを取得できる環境が整えば、第三者サービスに依存しない検証体制を構築しやすくなり、企業会計や内部統制の観点でも扱いやすくなると考えられる。
結果として、企業がデジタル通貨を業務に取り込む心理的障壁は下がるかもしれない。
一方で、フルノード運用にはサーバー環境や管理体制が求められ、技術面・コスト面の負担が課題となり得る。
さらに国内のステーブルコイン制度や監査手法はまだ発展途上であり、会計処理や監査基準の不確実性が企業の導入判断を慎重にさせる可能性も残る。
今後、ブロックチェーン監査の仕組みが標準化されれば、企業によるステーブルコイン活用は徐々に広がる可能性がある。
特に国際送金やデジタル決済の分野では、従来の銀行送金より処理速度やコスト面で優位性が指摘されており、監査体制が明確になれば財務部門での利用検討も進む展開が想定できる。
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