ファーストアカウンティング、GMOあおぞらネット銀行、インターネットイニシアティブ(IIJ)、ディーカレットDCPの4社は、企業間の請求から支払いまでを自動化する実証実験を実施したと発表した。
国際規格Peppolの請求データとデジタル通貨DCJPYを連携し、振込漏れや人的ミスの削減を目指す取り組みである。
請求から決済までを自動化する実証
3月12日に発表された実証実験(PoC)は、企業間の請求・支払業務の自動化を目的として実施された。
ファーストアカウンティングの請求業務効率化サービス群と、ディーカレットDCPが提供するデジタル通貨DCJPY(※1)を組み合わせることで、請求データから決済までをシームレスに連携する仕組みを検証した。
PoCでは、請求書データを国際的な電子請求書規格であるPeppol(※2)形式に変換し、企業間で送受信する。
その後、請求内容を記録した「商取引トークン」に決済情報を紐付け、DCJPYネットワーク上で支払いを実行する。
支払い完了後には、DCJPYネットワーク内で発行された消込用NFT(※3)の情報を基に、会計ソフトでの消込や集計を行う仕組みである。
従来の企業間決済では、紙請求書の郵送や請求情報の手入力、支払内容の目視確認など、多くの手作業が残っていた。
今回の検証では、売手企業の請求作成や入金確認、買手企業の支払データ作成や消込処理などを含む一連の業務について、従来の約4分の1の人員で対応できる可能性が確認された。
インターネットイニシアティブ(IIJ)は、サンプル請求書の提供やデモ画面の操作、接続検証結果の確認、実取引への導入に向けた課題洗い出しを担った。
さらに、GMOあおぞらネット銀行、北陸銀行、琉球銀行は、銀行の立場から従来サービスとの比較や課題点の洗い出しなどに関する助言を行った。
ディーカレットDCPとファーストアカウンティングは、今回の検証結果を踏まえ、機能課題の整理や市場分析を進めるとともに共同販売戦略の検討を進める方針だ。
2026年12月の商用化リリースを視野に検証範囲を段階的に拡大するという。
※1 DCJPY:ディーカレットDCPが提供する、銀行預金をトークン化した円建てのトークン化預金。ブロックチェーンや分散台帳技術(DLT)を活用して記録・移転される。
※2 Peppol:電子請求書などの商取引データを、標準化された仕様で企業間送受信するための国際的な枠組み・標準仕様群。
※3 消込NFT:今回の実証で用いられた、決済完了情報などをブロックチェーン上に記録し、会計ソフトでの入金消込や集計処理に利用するNFT。
企業間決済自動化の可能性、普及の鍵はシステム連携
本件のメリットは、請求データ作成から決済、消込までを一体化することで、企業のバックオフィス業務を連続的に処理できる可能性が見えてきた点にあるだろう。
Peppolの標準化データとDCJPY決済が連携すれば、振込漏れや入力ミスの抑制、経理業務の効率化が進む余地がある。
一方で、導入には複数企業や銀行、会計システムの連携が不可欠であり、単独企業では効果を発揮しにくいとみられる。
企業規模や利用システムの違いも大きく、特に中小企業では標準化の恩恵が実感されるまで時間を要する可能性がある。
今後は請求件数の多い業種などから段階的に導入が進むと考えられる。
普及の鍵はDCJPYの新規性よりも、既存の会計ソフトやERP、銀行インフラとどこまで自然に接続できるかにあり、実装のしやすさが競争軸になっていく可能性がある。
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