ドイツのスタートアップ企業PolarisEが、バイエルン州アンベルクで人工知能(AI)向けデータセンターの建設を計画していることが明らかになった。
初期段階の電力容量は30メガワット(MW)で、2027年半ばの稼働開始を目指す。
施設は将来的に最大120MWまで拡張できる設計とされており、ドイツ企業によるAI計算基盤の整備を見据えた取り組みとして位置づけられている。
独企業、30MW級AIデータセンター建設
ロイター通信は2026年3月10日、ドイツのスタートアップ企業PolarisEの話として、同社がバイエルン州アンベルクに人工知能(AI)向けデータセンターを建設する計画を進めていると報じた。
初期段階の電力容量は30メガワット(MW)で、2027年半ばの稼働開始を目指している。
施設は将来的に最大120MWまで拡張される可能性があるという。
PolarisEはドイツ国内外で13のデータセンターを運営しており、今回の施設が稼働すれば、ドイツ企業が運営する計算能力の拡大につながるとみられる。
投資額の詳細は明らかにされていないが、顧客が自社サーバーを設置するか、計算能力をレンタルするかによって、最終的な投資額は大きく左右されるという。
巨大IT企業は一般的に100MW以上の大規模データセンターを展開しており、今回の計画はそれらと比べると中規模といえる。
ただし、ドイツ企業主体のAI向け施設としては大規模案件の一つに位置づけられる可能性がある。
欧州ではAIの計算基盤を域内で確保しようとする動きが強まっており、今回の計画もその流れの一部とみられる。
欧州AI主権を支える計算基盤投資の行方
今回の計画の利点は、欧州がAIの計算基盤を自前で確保しようとする流れを、具体的な設備投資として示した点にあると考えられる。
自国企業が運営するデータセンターが増えれば、海外クラウド事業者への依存度を相対的に下げやすくなる可能性がある。
さらに、電力や通信、建設、人材など周辺産業への需要も生まれ、地域のAI研究や産業活動の基盤強化につながっていくことも期待できる。
一方で課題も小さくない。
AIデータセンターは電力消費が大きく、エネルギー価格や供給安定性が事業性を大きく左右するとみられる。
また、国内企業主体であることが必ずしも国際競争力を保証するわけではなく、資本力やGPU調達力の面で巨大IT企業に後れを取る懸念も残るだろう。
今後は、欧州各国でAI主権を意識したインフラ投資がさらに広がっていく可能性がある。
生成AIの普及に伴い、計算資源の確保が各国の政策課題として位置づけられつつあるためだ。
とりわけ機密性の高い研究や産業用途では域内基盤への需要が高まるとみられ、今回の取り組みもその先行事例として参照される場面が増えていくかもしれない。
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