財務省が全国の企業を対象に実施した調査で、AIを活用している企業の割合が75%に達したことが分かった。
約5年前の11%から大幅に増加した一方、AI導入による人員削減は28%にとどまり、業務効率化が中心の活用となっていることが明らかになった。
企業のAI導入75% 5年で急拡大
財務省は2026年1月29日、地域におけるAI活用を巡る現状調査の結果を公表した。2025年12月から2026年1月にかけて実施した企業調査によると、全国1,103社のうちAIを活用している企業は75%に達した。
約5年前の11%から大きく増加しており、日本企業におけるAI導入が急速に広がっている。
企業規模別では、大企業の活用率が89%と最も高く、中小企業でも65%前後に達した。
業種別では製造業が約80%、非製造業が約72%と、産業分野を問わずAI利用が普及している状況だ。
活用用途を見ると、最も多いのは「文章作成」で86%、「情報検索・収集・調査」が74%だった。
一方で「財務・経営分析」は15%、「顧客分析」は23%にとどまり、高度な意思決定分野への活用はまだ限定的である。
製造業では「製造・品質管理」や「開発・技術支援」に約3割が利用しているが、AIロボティクスによる業務補助は約1割にとどまっている。
また、導入効果では「業務時間の削減」を挙げた企業が91%に達した。
一方、AI導入によって必要人員が減少したと回答した企業は28%にとどまり、人からAIへの業務代替は限定的だった。
AI活用は効率化段階 経営判断への応用が次の焦点
今回の調査結果からは、AIが企業の実務ツールとして本格的に定着し始めている点がメリットとして挙げられる。
文章作成や情報収集など日常業務での利用が広がり、業務時間削減を実感した企業が多いことから、ホワイトカラー業務の効率化は着実に進み始めていると考えられる。
限られた人員でも業務量を処理できる体制が整いつつある点は、企業経営にとって大きな利点といえそうだ。
一方で課題として考えられるのは、AI活用が依然として補助的なツールにとどまっている点だろう。
財務分析や顧客分析といった意思決定領域での利用はまだ限定的で、人員削減の効果も一部にとどまっている。
AI導入が進んでも、組織構造や働き方そのものを変える段階には至っていない可能性もある。
今後はAIモデルの精度向上や企業データとの連携が進むことで、活用領域はさらに広がるとみられる。
財務分析や市場予測、顧客戦略など経営判断に近い分野へ応用が拡大すれば、AIは単なる業務効率化ツールから経営支援基盤へと進化していく可能性がある。
関連記事:
AI CoE立ち上げ支援開始 NTTデータ先端技術が全社変革型AI導入推進

NRIがClaude導入支援を本格化 日本企業の生成AI活用が次段階へ

防衛省、国会答弁作成に生成AI導入 省内開発ツールで業務効率化へ
