Instagram責任者、AI画像氾濫で「撮影時透かし」が現実解と指摘

Instagram責任者のアダム・モセリ氏が、AI生成コンテンツの増加を受け、実際に撮影された画像や動画に電子的な識別情報を付与する「撮影時透かし」の方が現実的になり得るとの見方を示したことが、2026年1月1日に報じられた。
投稿はInstagramとThreadsで公開されている。
Instagram責任者、実写識別へ撮影時透かしを提案
Instagram責任者のアダム・モセリ氏は、InstagramとThreadsへの投稿で、AI生成コンテンツが増加する状況を踏まえ、実際に撮影された画像や動画に電子的な識別情報を付与する方が現実的になり得るとの見方を示した。
一部のSNSプラットフォームは、AI生成コンテンツを自動認識してラベル付けする取り組みを進めている。
ただし、ラベル付けの信頼性は高いとは言えないとされ、同氏はAIの高度化により識別が難しくなるとの見通しを示している。
また、モセリ氏は、撮影時点での来歴情報を重視する考え方は、単にAI生成物を排除するための手段にとどまらないとの認識も示した。
真正性の手がかりが可視化されることで、コンテンツが「どのように作られたか」という背景への関心が高まり、結果として創作者個人の存在感が相対的に強まる可能性があると指摘している。
AI生成コンテンツが量・質ともに拡大する一方でも、創作者の価値そのものが低下するわけではないとし、「本物らしさ」はむしろ希少な資源になるとの見方を示した。
今後は、制作技術の巧拙よりも、「その人にしか生み出せない何か」が評価軸として重視されるようになるとの考えを示している。
AI時代の真正性、技術と文脈の分岐点
今回の発言を踏まえ、本件のメリットとして想定できるのは、コンテンツの真正性判断を「後追いの検出」ではなく「取得時点の証明」に寄せようとする点だろう。
生成AIの高度化により、事後的な見分けは限界に近づきつつあるとみられる。
撮影段階で来歴情報を付与する仕組みは、改変前の起点を示す補助線として機能し、少なくとも「信頼できる可能性」を示す材料になり得そうだ。
一方で、課題も浮かび上がる。
撮影時透かしが一部の端末や環境に限られれば、真正性の有無が利用機器に左右され、表現機会の不均衡を生む懸念がある。
また、来歴情報の付与は監視や追跡との境界が曖昧であり、匿名性や表現の自由との調整は避けて通れない論点になりそうだ。
信頼性向上とプライバシー保護の両立は容易ではないと考えられる。
今後は、電子透かし(※)や署名を「真実の保証」と過信しない運用が求められるだろう。
透かしの有無だけで価値判断が行われれば、受け手側の思考停止を招く可能性もある。
技術はあくまで補完手段と位置づけ、発信者や共有意図といった文脈理解を促す設計と併走する形で、業界横断の標準化議論が進む展開が想定できる。
※電子透かし:画像・動画に識別情報を付与し、照合に用いる技術。暗号署名と組み合わせて真正性確認に使われる場合がある。
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