サイカルトラスト、生成AIの真正性を担保 マルチAI評価とブロックチェーン特許

2025年12月11日、サイカルトラスト株式会社(東京都港区)は、生成AIやAIエージェントの信頼性を複数AIで評価・検証し、ブロックチェーンに記録する「鑑定証明システム」に関する日本特許を取得したと発表した。
複数AIで生成AIを検証 ブロックチェーンで評価過程を可視化
11日、サイカルトラストは取得した特許(第7755716号)を取得したことを発表した。
本特許は生成AIやAIエージェントの出力や学習データを、複数の異なる主体が運営する「マルチAI」で評価・検証し、その結果をブロックチェーンへ自動記録する仕組みを中核とする。
同社によれば、評価対象となった出力結果や、それを評価・検証した「マルチAI」の特定、評価理由やスコアリング算定式、重み付け基準などを含む一連のプロセスと結果を、ブロックチェーン上に記録することで、「いつ・どのAIが・何を根拠に・どう判断したか」を後から検証できるようにする。
本特許は、総務省が検討する「生成AI評価基盤」で示された7つの評価観点について、同社が「すべてを検証可能とする」としている。
同社は、単一のAIで評価・検証を行う場合、モデルの癖や訓練データの偏り、運営主体への過度な依存などにより「単一障害点問題」が生じ得ると説明する。
その上で、本特許は複数の独立したAIによる合議制評価と重み付け統合を前提とし、同問題の低減を図る設計だとしている。
また、各AIの評価理由やスコアリング算定式、重み付け基準を含む検証プロセスと結果をブロックチェーンに記録することで、後から「誰が・何を根拠に・どう判断したか」を追跡できるとしている。
マルチAI評価が拓く新たなAI監査モデル 社会実装には制度整備も鍵
本特許による「マルチAI×ブロックチェーン」モデルの最大のメリットは、AIの判断過程を第三者が独立して検証できる点にあると考えられる。
これまで専門家の経験や個別企業の内部ロジックに依存していた評価を、定量化されたデータとして共有できるようになり、AI監査やリスクマネジメントの新たな指針となる可能性がある。
特に官民で共有されるサイバー防御情報や生成AIの評価基盤への応用は、国家レベルの信頼インフラ構築にも直結するだろう。
一方で、マルチAIの構築には高い技術的・運用的コストが伴うとみられる。
評価AIの選定基準やアルゴリズムの透明性をどこまで開示するかという点も今後の課題となりそうだ。
加えて、評価データに個人情報や企業秘密が含まれる場合、ブロックチェーン上での管理や選択的開示ルールの整備が求められるだろう。
今後は、政府や基幹インフラ事業者との実証を通じて、標準化や制度化の流れが加速していくとみられる。
また、サイカルトラストが参画するISO/TC307など国際標準化活動との連携が進めば、日本発の「信頼できるAI監査モデル」がグローバルスタンダードとして評価される可能性もありそうだ。











