NTT Digital×ENI Web3社会を支えるブロックチェーン連携始動

2025年12月11日、ENI FoundationとNTT Digitalは、日本市場におけるエンタープライズグレードの高性能ブロックチェーン「ENIブロックチェーン」の社会実装および普及促進に向け、基本合意書を締結したと発表した。
国内企業のWeb3活用を加速する狙いがある。
高性能ブロックチェーンを日本へ ENIとNTT Digitalが連携
ENI FoundationとNTT Digitalは、日本市場でエンタープライズ用途に対応した高性能ブロックチェーンの普及を目的に協業に関する基本合意書を締結した。
ENIENI Foundation(以下、ENI)は並列コンピューティングアーキテクチャと三重構成のコンセンサスメカニズムを採用し、高速処理と高スループットを両立したエンタープライズグレードのプラットフォームを展開している。
EVM互換のモジュラー設計と、ワンクリックでチェーンを構築できる柔軟なAppChain(※)エコシステムにより、エンタープライズシステムやDeFi、RWA(現実資産)など幅広いユースケースを支援するブロックチェーンプラットフォームである。
ENIは、ソフトウェア開発キット(SDK)やアプリケーションプログラミングインターフェース(API)などの開発リソースをNTT Digitalに提供する。
一方、NTT Digitalは、法人向けにENIブロックチェーンと互換性のあるノードインフラ機能および関連技術ソリューションの提供・市場投入の可能性を検討する。
また、日本国内での認知度向上やエコシステム拡大に向けたプロモーション活動も展開していく計画である。
両社は今回の協業を通じ、エンタープライズ分野におけるWeb3活用を支援し、分散型テクノロジーを活用したインフラの構築を進める方針だ。
※AppChain:特定のアプリケーション向けに構築される独自のブロックチェーンの総称。
ブロックチェーン社会基盤化への試金石
ENIとNTT Digitalの協業は、日本のWeb3インフラ整備における重要な一歩になると考えられる。
ENIブロックチェーンは低遅延・高スループットを兼ね備え、RWAトークン化や行政データ連携など多分野での活用が見込まれる。
特に、企業が独自のAppChainを構築できるモジュラー設計は、用途別の最適化を促し、産業全体のデジタル基盤を刷新する可能性がある。
一方で、ガバナンスや法制度との整合性、長期運用を支える安定性といった課題は依然として重いだろう。
海外発の技術を国内規格へ適合させる過程では、セキュリティ基準やデータ管理体制の統一など、調整に時間を要することが予想できる。
また、ブロックチェーンの特性上、導入コストや運用スキルの確保も企業側の課題となりうる。
今後は、NTT DigitalのネットワークインフラとENIの技術力を融合し、通信・金融・行政といった分野を横断する標準基盤の形成が進むとみられる。
官民が連携して制度設計や実証を加速させることができれば、日本独自のWeb3社会基盤が形を成す可能性が高い。
今回の協業は、ブロックチェーンを“実験技術”から“社会の背骨”へと押し上げる起点となりそうだ。
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