Webサイトの「PV減」はAIの影響か ゼロクリック層が半数に拡大 検索行動が転換期に

生成AIの普及により、検索エンジンを経由せずにAI回答だけで完結する「ゼロクリック」行動が約半数に達した。
株式会社シードの調査で、AI利用者の4割が「検索回数が減った」と回答していることがわかった。
AI利用者の4割で検索頻度が減少 ゼロクリック行動が常態化
9日、株式会社シードは、全国1,504人(有効回答数)を対象に「AIによる検索行動の変化に関する意識調査」を実施し、その結果を発表した。
シードが公開した調査によると、生成AIの浸透に伴い検索エンジンの利用頻度に減少傾向が見られる。
AI利用者のうち「かなり減った(14.7%)」「少し減った(23.5%)」と回答した割合は計38.2%で、「ほとんど使わなくなった(6.0%)」を含めると、実に44%が検索からAIへと情報源を移行していることがわかった。
また、「AIの回答を見てサイトを開かずに済ませることがある」と答えた人は48.8%にのぼり、AIの回答のみで目的を果たす「ゼロクリック」行動が約半数で常態化しつつある。
特に、AI回答を「信頼できる」と答えた割合が60.6%に達しており、精度よりも“速さ”や“手軽さ”を重視する傾向が顕著になっている。
情報収集目的の検索ではGoogle(64.8%)が依然トップだが、購買目的ではAmazon(49.7%)や楽天(25.7%)が主流で、Googleのシェアはわずか5.3%に留まった。
「知りたい」と「買いたい」で利用サービスが分化し、Google検索に依存した従来型のSEO戦略だけではリーチが難しい層が拡大している状況が示唆される。
加えて、10代〜30代の若年層ではTikTokやInstagramなどSNSを検索手段として利用する傾向が見られる。
動画検索やハッシュタグによる情報探索が選択肢として定着しつつあると言える。
「AI最適化」が新常識に 企業発信は信頼性と構造化が鍵
AIを前提とした検索環境の進化は、企業発信の在り方を大きく変える可能性がある。
最大のメリットは、AIが信頼性の高い情報を優先的に参照することで、構造化データや専門性を備えたサイトがより可視化されやすくなる点にあるとみられる。
特にGEO(Generative Engine Optimization※1)への対応を進めれば、AI回答内での露出機会が拡大していくと考えられる。
一方で、AIの出力精度や情報更新の遅延により、誤情報が拡散するリスクは引き続き課題となるだろう。
AI最適化を重視しすぎた結果、独自の視点やブランドらしさが希薄になっていく恐れもある。
また、生成AIがユーザー投稿を学習する特性上、企業イメージが意図せず変容していく可能性も指摘されそうだ。
今後は、「AIで概要を得て検索で深掘りする」という行動が主流になっていくと予想できる。
企業は、AIが理解しやすい形式で一次情報を発信するとともに、SNSなどを通じた信頼醸成にも注力していくことが重要になるだろう。
GEOやAIO(※2)の導入が、今後のマーケティング競争力を左右する時代が訪れそうだ。
※1 GEO(Generative Engine Optimization):生成AIの検索回答に自社の情報を正確かつ効果的に反映させるための最適化手法。
※2 AIO(AI Optimization):生成AIや検索AIが情報を正確に理解・引用できるよう最適化する手法の総称。
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