GMOインターネットグループ、「ビジネス スーパーインテリジェンス構想」を発表 AIで会議や対話をデータ化し“組織の資産”として活用へ

GMOインターネットグループは、「ビジネス スーパーインテリジェンス構想」を発表し、ウェアラブルAIデバイス「Limitless AI」を活用した実証実験を開始した。「AI全社ログ革命」を推進し、会議や対話のデータ化と活用に向けた取り組みを進める。
全社の会話を“知の資産”に 「AI全社ログ革命」始動
2025年12月9日、GMOインターネットグループは「ビジネス スーパーインテリジェンス構想」を発表した。
これは、AIによって会議や日常の対話をデータ化し、組織全体の知的資産として活用する取り組みである。
Zoom会議の全録画とAI議事録を3年前から導入しており、今回は会議外の会話や業務上のやり取りなど、これまで記録されなかった情報をも対象に拡張する。
12月1日からは、ペンダント型AIデバイス「Limitless AI」を使った実証実験を開始した。
同デバイスは装着するだけで会話を自動記録・要約し、AIが内容を自動整理する。
自然言語での検索も可能で、従業員の発言や議論を「共有可能な知」として再活用できる点が特徴だ。
個人の経験や発想をチーム全体の資産へ変換し、経営判断のスピードと精度を高める狙いがある。
一方で、AIウェアラブル市場では、Meta社が2025年12月にLimitless社を買収し、AIウェアラブル市場に本格参入することも発表された。
GMOは買収発表前に機材を確保しており、同デバイスの活用に向けた準備を進めている。
同社は構想で得た知見を外部にも公開し、日本企業のDX促進やAI社会の発展に貢献する方針を掲げている。
AIが企業の「記憶」を担う時代へ 知識共有とデータ倫理の両立が鍵か
同構想の最大のメリットは、AIが組織の「記憶」を担うことで、知識の循環速度を飛躍的に高められる点だろう。
過去の議論や意思決定を即座に参照できれば、重複作業や情報の断絶を防ぎ、経験知を再利用する文化が定着する可能性がある。
人の感覚や経験をAIが補完することで、より客観的で迅速な意思決定が進むとみられる。
一方で、会話や思考過程がデータ化されることへの懸念は今後も残るだろう。
AIが社内コミュニケーションを常時記録する環境では、発言の萎縮や誤解のリスクが高まる可能性があり、倫理的配慮やセキュリティ設計の重要性はいっそう増していくと考えられる。
特に、感情や意図を含む曖昧な会話をどのように解釈・活用していくかは、技術的にも制度的にも引き続き検討が求められていくことになりそうだ。
今後は、AIによる「知識の民主化」と「データ倫理の確立」が並行して進むと予想できる。
GMOの構想は、単なる社内DXの枠を超え、知識を動的に更新し続ける“学習する組織”の新モデルを提示していると言える。
こうした仕組みが成熟すれば、企業は情報量の多寡ではなく、知識をどれだけ速く・適切に再活用できるかという“知の機動力”で競う時代へと移行していくかもしれない。
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