妖怪川柳コンテストが今年で終了 AI生成の増加で「人の創作」見極め困難に

鳥取県境港市の境港観光協会は、「妖怪川柳コンテスト」を現在募集中の第20回をもって終了することが2025年11月9日に報じられた。
AIによる文章生成技術の発達で、人間が詠んだ句とAIが作った句の区別が難しくなったことが理由だ。
AI台頭で幕を下ろす「妖怪川柳」 20年の文化が転換点に
「妖怪川柳コンテスト」は、漫画家・水木しげる氏の出身地である境港市を“妖怪のまち”として全国に発信する目的で2006年に始まった。
境港観光協会は、「AIの発達で、川柳を簡単に作れるようになり、人間が考えた句と区別がつきにくくなったことが終了の理由です」とコメントしている。
このため、文化振興と公平な審査の両立が困難となり、現在募集中の第20回をもって終了を決定。
長年続いた地域文化イベントが、AI時代の創作環境の変化を背景に一区切りを迎えることになった。
協会は今後について、「体験型の新たな妖怪企画を検討している」とし、観光と体験を融合させた新しい文化発信の形を模索している。
AI時代の創作、問われる「作者性」と共創の在り方
AIによる文章生成が浸透したことで、詩や川柳といった表現の門戸が広がり、創作がより身近なものとなった点は大きな利点だと考えられる。
発想を補助するツールとしてAIを活用すれば、経験の浅い人でも自由に言葉の世界を楽しむことができるだろう。
一方で、AIが生み出す句は感情や体験といった人間的要素が希薄になりやすく、創作本来の価値が揺らぐという懸念も残る。
また、創作におけるAI利用の明確な線引きがないままでは、文学賞やコンテストの公平性にも影響を及ぼしかねない。
今後は、AIを創作者の補助ではなく「共創者」としてどのように位置づけるかが問われる段階に入るだろう。
地域や個人の表現を大切にしながら、AIとともに新しい創作の形を広げていけば、創作文化は次の段階へ進むだろう。
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