モンスターラボ、「MonstarX」提供 マルチAIエージェント活用のPoC開発基盤

2025年11月6日、株式会社モンスターラボ(東京都渋谷区)は、マルチAIエージェントを活用したPoC開発プラットフォーム「MonstarX(モンスターエックス)」のグローバル提供を開始した。SaaS型で月額20ドルから利用可能である。
非エンジニアでもAI対話でプロトタイプ構築が可能に
モンスターラボが新たに発表した「MonstarX」は、自然言語によるAI対話を通じて、誰でも短期間でアイデアを実証レベルのプロトタイプへと具現化できるPoC(※1)開発支援プラットフォームである。
世界12の国と地域で培ったPoC/MVP支援の知見をもとに開発され、技術職以外の人材でも専門知識を必要とせず、複数のAIエージェントが要件整理、UI設計、コード生成までを分担する。
背景には、アイデアを形にするまでのコミュニケーションギャップが存在していた。
多くのビジネスパーソンが革新的な構想を持ちながらも、技術的な壁に阻まれ、開発の一歩を踏み出せずにいた。
モンスターラボはこうした課題を解決し、創造的思考を具現化するための環境を提供する狙いがある。
また、MonstarXはエンタープライズ向けのセキュリティ設計も備える。
プライベートクラウドやローカルLLM(※2)環境に対応し、データが外部AIモデルの学習に利用されないよう制御する仕組みを採用。
さらに、試作したプロトタイプを同社の開発体制に引き継ぐことで、本番開発へのシームレスな移行も可能とする。
提供プランは30日間の無料トライアルに加え、月額20ドルまたは年額180ドルのProfessionalプラン、カスタム対応のEnterpriseプランを用意している。
※1 PoC:Proof of Conceptの略。アイデアや仮説を短期間で技術的に検証する概念実証プロセスのこと。
※2 LLM:Large Language Model(大規模言語モデル)の略。膨大なテキストを学習し、自然言語での生成・理解を行うAIモデル。
創造の民主化が進むAI開発時代へ
MonstarXの導入は、開発現場の多様化を促進し、非エンジニアでも迅速にアイデアを具現化できる点で大きなメリットをもたらすとみられる。
これにより、社内でのアイデア検証から実装までのプロセスが効率化し、開発リードタイムの短縮や新規事業の創出スピード向上が期待できる。
特に、AIとの対話を通じてプロトタイプを生成できる仕組みは、従来の「専門職依存型」から「全員参画型」へのシフトを後押しするだろう。
一方で、生成物の品質管理やセキュリティリスク、法的責任の所在といった課題も浮上する可能性がある。
AIが作成したコードや設計内容がそのまま商用化に適さないケースも想定され、組織としてのレビュー体制やガバナンス整備が不可欠になるだろう。
それでも、MonstarXの発展は「創造の民主化」を象徴する動きとして注目できる。
「すべての人が創造の主体になる」という仕組みが実装レベルで進展すれば、企業DXの新たなスタンダードとして定着する可能性がある。
将来的には、企業文化そのものを変革するAI開発基盤へと進化していくかもしれない。
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