旺文社「英検カコモン」、AI採点を公式版に 精度とコメント強化

2025年10月31日、株式会社旺文社は、英検対策Webサービス「受験生のための英検カコモン」に搭載するライティングAI採点機能を公式版としてリリースした。
β版での採点実績を踏まえ、評価の精度とコメント内容の質を高めたアップデートとなる。
英検カコモン、ライティングAI採点を正式リリース 1万件超の実績をもとに精度向上
旺文社は、英検の過去問をオンラインで学習できる「受験生のための英検カコモン」において、ライティングAI採点機能の公式版を公開した。
2024年12月に導入されたβ版では、2025年9月までに1万件以上の採点実績を積み重ね、ユーザーからのフィードバックをもとにアルゴリズムを改良。英検の4観点(内容・構成・語彙・文法)を基準に、旺文社独自のスコアリング基準を加えた採点方式へと発展した。
今回の公式版では、採点の正確性だけでなく、コメント内容の精度も向上している。
AIが示す改善提案がより具体化され、受験生が弱点を分析しやすくなった点が特徴だ。
有料会員は英検カコモンの全問題でライティングAIを利用可能であり、無料会員も最新回の過去問を何度でも試せる。
対応級は準1級から3級までに加え、2025年度第1回から導入された「準2級プラス」にも対応。英検公式サンプル問題の無料利用も可能となった。
料金は月額1,800円(税込)、年額18,000円(税込)で、初回ログインから24時間は無料体験が付与される。
AI採点が切り拓く教育現場の新たな可能性
AIによる採点導入の最大の利点は、採点スピードと評価基準の一貫性にあるといえるだろう。
従来は人手で時間を要していたライティング評価を瞬時に受けられることで、学習者は短期間で改善を重ねやすくなるとみられる。
さらに、AIが提示するスコアは客観的な成長指標として作用し、継続的な学習意欲を支える効果も期待できる。
特に、教師が不足する地域や海外学習者にとっては、学習機会の格差を是正する手段にもなり得るだろう。
一方で、AIの判定精度や信頼性は依然として課題を残す。
旺文社のシステムは日本英語検定協会による公式監修を受けておらず、あくまで補助的な評価として利用するのが現実的だろう。
誤判定や表現意図の読み違いが生じるリスクを踏まえ、教育現場では人間による添削とAIの採点を併用する運用が求められそうだ。
今後は、AI採点で得られたビッグデータをもとに教育カリキュラムや個別指導の設計を最適化する動きが加速するとみられる。
評価軸の精緻化とフィードバック機能の高度化により、英語教育全体の質が底上げされる可能性が高い。
AIが単なる「採点者」から「学習パートナー」へと進化していく過程を示す事例となりそうだ。
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