YouTube、AIで18歳未満を自動判別 米国で未成年保護強化の新施策

2025年7月29日、米Google傘下の動画共有サービスYouTubeは、米国内において18歳未満の視聴者をAIで自動検知する新たな機能を導入すると発表した。
年齢確認制度の厳格化が進む中、未成年保護の一環として試験運用を開始する。
AI活用で年齢判別、10代向け保護機能を自動適用へ
YouTubeは、米国における未成年ユーザーの安全性向上を目的に、AIによって18歳未満の視聴者を推定する仕組みを導入する。
アカウント作成時に登録された情報ではなく、ユーザーの視聴履歴や検索傾向、利用年数など、複数の行動データをAIが解析することで年齢を推定する。
18歳未満と判断されたアカウントには、作成時に入力した生年月日に関わらず、ティーン向けの保護機能が自動的に適用され、年齢制限コンテンツへのアクセスが制限される。
AIによる判別は、まず8月13日より米国内で少数のユーザーを対象に試験的に運用される。
この技術は他市場ですでに導入されており、一定の成果が得られたことから、今回の米国展開に踏み切ったという。
ユーザーがAIの年齢判定に異議を唱える場合は、政府発行の身分証明書やクレジットカード、自撮り写真などを提出することで年齢の再確認が可能だ。
今回の取り組みは、米国を中心に広がる年齢確認の法律化を背景にしたものだ。
複数の州では、成人向けコンテンツへのアクセス制限を強化する法律が相次いで成立しており、テクノロジー企業には実効性ある年齢認証手段の導入が求められている。
AIによる「推定年齢」への期待と懸念、精度とプライバシーの両立が鍵か
YouTubeが導入を発表した「AIによる18歳未満の自動判別機能」は、未成年のオンライン上の安全確保に向けた技術的アプローチとして注目できる。
最大のメリットは、従来の年齢確認制度に比べて実効性が格段に高まる点だろう。
ユーザーの申告に頼るのではなく、視聴行動や履歴などのデータから年齢をAIが推定することで、より現実的な未成年保護が実現する可能性がある。
一方で、課題も無視できない。AIによる年齢判別はあくまで確率に基づいた「推定モデル」であり、誤認による不適切な制限や逆に保護が及ばないケースが発生する懸念がある。
また、行動ログや利用履歴を用いた年齢の予測という仕組みは、プライバシー保護の観点から反発を招く可能性もある。
今後、このようなAIによる年齢推定技術は、各国の法制度や文化的背景に応じて柔軟に進化していくと予想できる。
米国を皮切りに導入が進めば、欧州や日本など他の地域でも同様の取り組みが広がるかもしれない。
とくに、子どものネット利用に対する規制強化の流れが加速する中では、大手プラットフォームにはより高精度かつ透明性の高い保護機能が求められることになるだろう。
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