ZOZO、全エンジニアに開発AIエージェント導入 1人あたり月額200ドルを上限に本格展開へ

2025年7月29日、株式会社ZOZOは、グループ全体のエンジニアを対象に、1人あたり月額200米ドルを基準とした開発AIエージェントの導入を開始すると発表した。
生成AIの活用により、開発業務の効率化とエンジニアのスキル向上を同時に図る。
開発AIを月額上限つきで全エンジニアに展開
ZOZOは、開発現場での生成AIの活用を本格化させる方針を示した。
ZOZOグループに所属するすべてのエンジニアを対象に、1人あたり月額200米ドルを基準として開発支援AIを導入する体制を整備した。
この取り組みは、開発AIエージェントの進化を背景に、開発業務のさらなる効率化を目指すものである。
これによりエンジニアのスキル向上と、生産性の飛躍的な向上を図る狙いがある。
同社は2023年5月より「GitHub Copilot」の導入を開始し、2025年4月には「GitHub Copilot Agent mode」や「GitHub Copilot code review」機能を活用できる環境を整えた。
さらに、GeminiやNotebookLM、ChatGPTといった生成AIツールも全社員に開放し、活用を推進している。
加えて、社員向けの生成AI研修や業務効率化ツールの内製化も進めており、社内全体でAI活用の浸透を図ってきた。
今回の導入に際しては、事前の技術検証や利用ガイドラインの整備も行われ、安全かつ円滑な運用体制の構築が完了している。
執行役員兼CTOの瀬尾直利氏は、「私たちはAIを、開発者一人ひとりのスキル向上を促すパートナーと捉えている。」「今後もこの強みを活かし、AI活用を武器に、次世代のファッションとテクノロジーの融合を目指して邁進していく」と語っている。
AIが変える開発現場 創造性とナレッジが競争力に
最大のメリットは、日常的なコーディングやレビュー作業の負担を軽減し、人的リソースの効率化を図れる点にある。
AIは単なるコード補完にとどまらず、設計支援やドキュメント生成といった開発プロセス全体に関与できるため、エンジニアがより創造的かつ戦略的な業務に集中できる環境が整いつつある。
一方で、AIの出力を鵜呑みにすることで、コードの品質低下やセキュリティリスクが顕在化する懸念もある。
AIを“補助的存在”として捉える意識が欠ければ、エンジニア自身の思考停止やスキル低下を招きかねない。
技術的なレビュー体制やセーフティネットの整備が不可欠となるだろう。
今後は、AIの活用が開発現場におけるナレッジ共有や人材育成のインフラとして位置づけられていく可能性が高い。
ZOZOにおいては、プロンプト設計やAIツールの活用ノウハウが“技術資本”として蓄積され、組織全体の学習基盤を形成していくとみられる。
また、社内勉強会の定例化や、リーダー層によるユースケースの共有が進むことで、AIリテラシーの底上げが期待される。
最終的には、AIを活用した開発文化が社内に定着し、競争力の源泉となる知的基盤へと進化していくだろう。