オープンAIが独自AIブラウザー発表か 対話型UIで検索市場に挑む

2025年7月9日、米ロイターは関係者の話として、生成AI「ChatGPT」で知られる米オープンAIが、数週間以内に独自のウェブブラウザーを発表する見通しだと報じた。
グーグルの「クローム」に対抗する狙いで、AIを通じた新たなインターネット利用体験の創出を目指す。
対話型設計でウェブ体験を刷新、予約や入力もAI代行
報道によれば、オープンAIの新ブラウザーは、従来の検索結果クリック型のUIとは一線を画し、対話形式でユーザーの要求に応答する設計が特徴だ。
ユーザーは「ChatGPT」に話しかけるように情報を探し、回答を受け取るかたちになる。
さらに、同社のAIエージェント「オペレーター(Operator)」と連携すれば、宿泊や飲食の予約、ウェブフォームへの自動入力といった実用的なタスクも実行可能になるという。
すでにChatGPTは週あたり5億人のアクティブユーザーを抱えており、この層が新ブラウザーへと移行すれば、グーグルが展開する広告エコシステムに与える影響も小さくないとみられる。
なお、クロームは、アルファベット社の広告事業の中核を担っており、全体売上の約75%を占める収益源となっている。
対話型AIが変える主導権、検索支配構造に揺らぎも
検索を介さずに目的を達成するUIは、グーグル型の広告モデルを前提とした検索支配構造そのものを揺るがしかねない。
今回の報道が正しければ、ユーザーが自然な言葉で要望を伝えるだけで、検索から操作までをAIがシームレスに代行することとなり、新しい形のウェブシステムが誕生すると言える。
こうした技術革新の一方で、浮かび上がる課題もある。
AIがウェブ上の行動を代行することで、ユーザーの意思決定やプライバシーへの関与が希薄になる恐れがある。
また、AIが収集・解析するユーザーデータの取り扱いについては、倫理的・法的な配慮が不可欠だ。
仮に、ChatGPTの週5億人を超える利用者が新ブラウザーへと移行すれば、検索市場におけるグーグルの支配的地位が揺らぐことも十分に考えられる。
広告収益の流れにも変化が生じ、検索ビジネスの構造が再編される展開もあるだろう。
今後は、このAIブラウザーがどのような機能を持ち、どのように受け入れられていくのかが、インターネット体験の次なる潮流を左右する要素となるはずだ。
検索を中心とした従来型のネット利用は、対話型AIを軸とした新たな時代へと移行していくかもしれない。