声優・宮野真守氏が語る生成AIの“声の無断利用”問題　「多少使われても構わない」真意とは

2025年6月11日深夜、声優・宮野真守氏がラジオに出演し、生成AIによる“声の無断利用”問題について見解を述べた。
業界内で危機感が強まる中、「多少使われたとしても、全然」とした発言に注目したい。

宮野真守氏、AIによる“声の無断利用”に持論

AI技術の進化に伴い、声優の音声データが無断で模倣・使用されるケースが増加している。
こうした事態に対し、声優業界では懸念が広がり、法整備やガイドラインの整備を求める声も高まっている状況だ。

こうした中、2025年6月11日深夜に放送されたニッポン放送「佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)」に出演した声優の宮野真守氏が、自身の考えを語った。
Netflixのコメディシリーズ「デスキスゲーム　いいキスしないと死んじゃうドラマ」に出演した宮野氏は、共演した佐久間宣行氏と劇団ひとり氏とともに、生成AIによる音声利用について語り合った。

劇団ひとり氏からの質問を受けた宮野氏は「たくさんの方が声を上げている」と業界の危機感に理解を示しつつも、「僕は、まぁ所詮（AIには）できないだろうと思っているので」と自身の声優技術への自負をにじませた。

さらに「多少使われたとしても、全然」と述べ、その堂々とした姿勢に劇団ひとり氏も「かっこいい！」と称賛の声を送った。

演技は代替不能なのか　AI時代の声の価値

宮野氏の「多少使われても構わない」とするスタンスは、生成AIの時代における柔軟な姿勢を象徴しているといえる。
このようなスタンスは、AIの利便性や技術発展に対する寛容な態度として評価される一方、業界全体にとってのリスクも孕んでいる。

最大のメリットは、「人間の演技力はAIに代替されない」という声優としての自負が、表現者の価値を再確認させる点にある。
AIが声を模倣できる時代にあっても、感情の機微や間合いといった演技の深度は機械には再現困難であり、それを明言した点は職能への信頼を裏付けている。

一方で、「声の無断利用」を容認する発言は、著作権や職業倫理の希薄化を助長させる可能性もある。
特に、若手声優やまだ知名度の低い表現者にとって、自身の声が知らぬ間に利用され、正当な報酬を得られない事態が起きれば、深刻な打撃となるはずだ。

現在、AIによる声の使用についてのルール整備は急務であると考えられており、法的対応を含めた議論も進んでいる。
生成AIの発展が避けられない以上、今後の鍵は「いかに技術と倫理を両立させるか」にかかっているだろう。