徳島県、AIカメラで地域スポーツをライブ配信 NTT西日本らと包括提携で推進

2025年6月5日、徳島県はNTT西日本およびNTT Sportictと包括連携協定を締結した。
県有施設にAIカメラを設置し、アマチュアスポーツのライブ配信を行う取り組みで、地域活性化やスポーツ振興の新たなモデルとして注目できる。
むつみスタジアムにAIカメラ導入、県内スポーツを配信
徳島県は6月5日、NTT西日本およびNTT Sportictと、AIカメラを活用したスポーツ中継を含む地域活性化に向けた包括連携協定を締結した。
県庁で行われた締結式には、後藤田知事、NTT西日本徳島支店の加藤拓支店長、NTT Sportictの中村正敏社長が出席し、3者が協定書に署名した。
協定の中核となるのは、県が所有する「むつみスタジアム」へのAIカメラ設置と、スポーツイベントのライブ配信である。
NTT Sportictが提供するカメラシステムを活用し、県内で開催されるアマチュア競技などの映像をインターネット経由で視聴可能にする。
中村社長は「ただの配信システムではなく、地域に暮らす皆さんの暮らしや気持ちに寄り添った、温かい繋がりを生むものになっていけば、良いと思っています」と述べた。
スポーツDX実証『マチスポ』で取り組みを拡張
今回の連携協定は、徳島県が掲げる「スポーツ立県」の実現に向けた一環として、AIカメラと配信プラットフォームを活用した「マチスポ」の実証を開始するものだ。
「マチスポ」は、スポーツDX(※)を通じて地域コミュニティの活性化を図る取り組みである。
具体的には、むつみスタジアムに野球専用AIカメラ「STADIUM TUBE DoublePlay」を設置し、試合の自動撮影・配信を行う。
これにより、選手や観客がオンラインで試合を視聴・応援できる環境が整備される。また、練習の振り返りや情報発信にも活用される予定だ。
今回の取り組みは、全国の自治体に先駆けて「地域×スポーツ×AI」という領域での実証実験の色彩を帯びている。
特に「マチスポ」構想は、スポーツDXの文脈において、地域コミュニティとテクノロジーの融合を図るモデルケースとなりうるだろう。
ただし、AIカメラの導入や配信プラットフォームの構築は初期投資と運用負担が小さくない。
今後は、導入施設の選定や、ターゲットユーザー層への訴求力向上、行政主導だけに頼らない官民連携モデルの構築が重要となるだろう。
※スポーツDX:スポーツ分野におけるデジタルトランスフォーメーションの略。AIやIoTなどの技術を活用し、スポーツの観戦・運営・指導などを効率化・高度化する取り組み。