OpenAIのCEO解任劇が映画に 米アマゾンが「Artificial」として制作へ

2025年6月3日、米Amazon MGM Studiosが、2023年に起きたOpenAIのサム・アルトマンCEO解任騒動を題材とした映画「Artificial」を制作中であると報じられた。
脚本は人気作家サイモン・リッチ氏が手がける。
OpenAIの混乱劇が映画化、実名の脚本家と監督が集結
米メディア「The Hollywood Reporter」によると、アマゾン傘下のAmazon MGM Studiosが、OpenAIのCEO交代劇を映画化する企画を進めている。
タイトルは「Artificial」で、脚本は米国のコメディー作家サイモン・リッチ氏が担当する。
監督には、映画「君の名前で僕を呼んで」で知られるルカ・グァダニーノ氏が候補として挙がっており、交渉が進行中だという。
撮影は2025年夏に開始予定で、舞台はカリフォルニア州サンフランシスコなど複数地域とされる。
題材となるのは、2023年11月17日に突如発表されたOpenAIのCEOサム・アルトマン氏の解任騒動だ。
取締役会による突然の発表は社内外に衝撃を与え、同氏は事前通告もなく追放される形となった。
その後、マイクロソフトのサティア・ナデラCEOがアルトマン氏の受け入れを発表し、OpenAIではわずか数日で同氏の復帰が決定。
前代未聞の事態は一応の収束を迎えたが、経緯の全容はいまだ謎に包まれている。
生成AIの象徴的事件が題材に 市場と業界への影響とは
「Artificial」は、生成AIを巡る企業の葛藤や権力闘争を描く“現代の実録ドラマ”として注目できる。
OpenAIはChatGPTの登場以降、AI業界をリードしてきたが、その中心人物であるアルトマン氏の電撃解任と復帰は、テクノロジー企業の統治構造に対する疑問を投げかけた。
今回の映画化は、生成AIへの社会的関心の高さを象徴する出来事とも言える。
ビジネス界では、透明性や責任あるAI開発の必要性を訴える声が高まっており、同作がそれを映像作品としてどこまで再現できるかが焦点となるだろう。
一方、こうした実在企業の混乱をエンタメ化することには賛否もあるだろう。
作品が事実に基づきつつも脚色を含むフィクションである以上、関係者の意図や背景がどこまで正確に描かれるかはわからない。
それでも、この騒動がもたらしたインパクトは大きく、映画を通じてAI業界の内部構造や課題がより広く議論される契機になる可能性は高い。