Moonshot AIは、2.8兆パラメータを持つ大規模AIモデル「Kimi K3」の全モデルウェイトを公開した。
最大100万トークンのコンテキスト長と画像を扱う視覚機能を備え、長時間のコーディングや知識業務など、複数工程を継続して処理する用途を重視している。
2.8兆パラメータの全ウェイトを公開
Moonshot AIは2026年7月28日、同月16日に発表した大規模AIモデル「Kimi K3」の全モデルウェイトを公開した。
Kimi K3は2.8兆パラメータを持ち、画像を扱えるネイティブな視覚機能と、最大100万トークンのコンテキスト長を備える。
長時間にわたるコーディングや知識業務、推論など、複数の工程を継続的に処理する用途を重視して設計された。
基盤にはKimi Delta AttentionとAttention Residualsが採用されている。さらにMoE(※)構成を拡張することで、896の専門家モデルのうち16を入力に応じて有効化できる。
Moonshot AIによると、こうした構造や学習手法の改善により、Kimi K2と比べて全体のスケーリング効率は約2.5倍に向上したという。
教師ありファインチューニングの段階以降は量子化対応学習を取り入れ、重みにはMXFP4、活性値にはMXFP8が用いられている。
同社は効率的な推論環境として、64基以上のアクセラレーターを備えたスーパーノード構成を推奨している。
開発元が示した評価では、Program BenchでKimi K3が77.8、Claude Fable 5が76.8、BrowseCompではそれぞれ91.2と88.0となり、Kimi K3が上回った。
一方、DeepSWEでは67.5に対して70.0、FrontierSWEでは81.2に対して86.6となり、Claude Fable 5を下回っている。
※MoE:Mixture of Expertsの略。複数の専門家モデルの中から、入力に応じて一部だけを選択して動かす方式。
巨大オープンモデルが開発競争を加速か
Kimi K3の全ウェイト公開により、企業や研究機関が大規模モデルの構造を検証し、自社用途に合わせた追加学習や推論環境の最適化を試みる動きが広がる可能性がある。
特にコード生成や科学研究、映像制作などでは、開発元の商用APIだけに依存しない環境を構築する選択肢が増えるだろう。
一方、2.8兆パラメータという規模と、64基以上のアクセラレーターを推奨する計算環境は、直接運用できる組織を限定する要因になり得る。
設備の導入費用や電力消費、冷却設備、分散推論基盤の整備負担が大きければ、当初の活用はクラウド事業者や大規模な研究機関を中心に進むと考えられる。
今後、主要な推論ソフトへの対応や実行環境の最適化が進めば、より多くの企業がKimi K3の技術を利用できるようになるかもしれない。
軽量な派生モデルが登場するかも注目点となりそうだ。
性能の高さだけでなく、導入費用や動作の安定性、利用条件、既存システムとの互換性を含めて実用性を示せるかが、オープンモデル市場での普及を左右するとみられる。
Kimi 「Kimi K3: Open Frontier Intelligence」
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