アイリスオーヤマは法人向けDX清掃ロボット「JILBY(ジルビー)」を7月1日に発売すると発表した。同社にとっては初のソフトウェアとハードウェアを完全内製化した製品で、AIが清掃データを学習して最適な清掃ルートや頻度を提案する。
ソフト・ハード完全内製のAI清掃ロボットを発売
アイリスオーヤマが2026年6月26日に発表したJILBYは、床面の集塵清掃を自動で行う法人向けDX清掃ロボットである。
グループ会社のシンクロボがソフトウェアを開発し、ハードウェアは自社工場で製造することで、企画から開発、製造、販売、アフターサービスまでを一貫して担う体制を実現した。
同社は2020年にロボティクス事業へ参入し、業務用清掃ロボット市場で2023年から3年連続のベンダーシェア首位を獲得している。累計導入社数は7000社、累計出荷台数は2万5000台を超える。
JILBYは自動充電機能や着脱式バッテリー、静音モード、10インチ大型モニターなどを搭載し、操作性やメンテナンス性を高めている。
また、LiDARセンサー(※1)や3Dカメラ、超音波センサーなどにより周囲の状況を把握し、安全な自動走行を実現する。
さらに、NTT西日本グループの「AIロボティクスプラットフォーム」と連携することで、AIが蓄積した清掃データを分析し、施設ごとに最適な清掃ルートや頻度、時間帯を提案する。音声やテキストによる双方向コミュニケーションにも対応し、今後はエレベーターや自動ドアなど外部システムとの連携機能も順次追加する予定だ。
※1 LiDARセンサー:レーザー光で周囲までの距離や形状を高精度に測定し、ロボットや自動運転車の自己位置推定や障害物検知に利用されるセンサー。
AI活用は「清掃の自動化」から「運用最適化」の段階へ
今回のJILBYで注目できる点は、単に清掃を自動化するだけでなく、AIが運用データを学習し、改善案まで提示する仕組みを備えたことである。
この仕組みにより、管理者は経験や勘だけに頼らず運用改善を進められ、清掃品質の均一化や負担軽減につながる可能性がある。
また、ソフトウェアを自社開発する体制を確立したことで、利用現場の要望を反映した機能追加や外部システムとの連携を迅速に進められる点も競争力になり得る。
AIによる提案精度が向上すれば、ロボットは作業機器から業務改善を支援する存在へと役割を広げていくだろう。
一方で、AIによる最適化は十分な運用データの蓄積を前提としているため、導入初期は施設ごとの調整が欠かせないはずだ。加えて、外部システムとの連携が進むほど、セキュリティ対策や安定したシステム運用の重要性も増すと考えられる。
日本政府がフィジカルAI(※2)の普及を成長戦略の一つに位置付けていることも踏まえると、今後は清掃ロボットに限らず、警備や物流、搬送など幅広いサービスロボットへ「AIを活用した運用支援機能」が搭載される流れは加速し、ロボット市場全体の高度化につながるかもしれない。
※2 フィジカルAI:音声や映像、各種センサー情報を統合して現実世界を認識し、ロボットなどが物理的な作業を自律的に実行・最適化するAI技術。
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