東芝はAIエージェントを活用した「AIリコメンドサービス」の提供を開始したことを発表した。
SMTラインの設備データを分析し、不良原因や改善策を提示することで、熟練者に依存しがちな工程改善の標準化を狙う。
AIがSMTライン改善策を提示
2026年6月18日に東芝が提供を始めた「AIリコメンドサービス」は、「Meister Apps 工程改善アシストパッケージ for SMTライン」の新オプションである。
エラー率や稼働率など、あらかじめ設定したKPIの中から調査対象を選ぶと、AIエージェントが収集済みの設備データを分析し、不良などの原因と対策案を提示する。
背景にあるのは、半導体需要の拡大に伴うPCB市場の成長だ。
データセンター、EV、スマートフォン、産業用ロボットなどで電子部品の需要が増え、プリント基板に部品を実装するSMTラインでは、生産性向上がより重要になっている。
一方で、複数メーカーの設備からデータを集めて管理する難しさや、分析が熟練者の経験に依存しやすいことが現場課題となっていた。
東芝は2024年10月に、SMTラインの設備データを自動で収集・蓄積し、ダッシュボードで可視化・分析できる同パッケージを投入した。
特定メーカーに限らず、ライン上の各種設備データを一元管理できる点を強みとしている。
今回の新サービスは、その蓄積データをAIが読み解き、改善活動へつなげる拡張機能という位置づけになる。
※SMT/PCB:SMTは電子部品を基板表面に実装する技術。PCBはプリント基板を指す。電子機器の小型化や高密度化を支える製造工程であり、実装不良や稼働率の改善が生産性に直結する。
現場AIは標準化を進めるか
このサービスの利点は、改善活動の入口を大きく下げる点にある。
ワンクリックでKPIを選択でき、AIの分析根拠も表示されるため、現場担当者は提案内容の妥当性を確認しながら対策を検討できる。
単なるチャット型AIではなく、東芝グループが1980年代から家電、OA機器、デジタル機器、自動車、社会インフラ向け制御基板で培ってきたPCB製造ノウハウを反映する点も特徴だ。
ただし、AIの提案が現場条件を常に正しく反映するとは限らない。
設備の状態、材料ロット、作業環境、人員配置など、データ化されにくい要因も品質に影響することが予測できる。
今後は、AIの推薦をそのまま採用するのではなく、現場判断と組み合わせて検証する運用が鍵となる可能性がある。
Microsoft Azureを利用するクラウドサービスである点から、データ管理やセキュリティ面の説明も導入判断を左右するだろう。
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