博報堂DYホールディングスは、インフルエンサーマーケティングツール「ENGAGEMENT BLOOM WAVE」の開発と、その中核となる独自AI評価指標「IQS」を活用したソリューションの提供を開始した。
博報堂DY、AIでインフルエンサー施策を刷新
博報堂DYグループは、統合マーケティングプラットフォーム「CREATIVITY ENGINE BLOOM」の新プロダクトとして、「ENGAGEMENT BLOOM WAVE」を開発したと2026年6月17日に発表した。
本ツールは、インフルエンサーの選定から施策運用、効果測定までを一元管理し、AIを活用したパフォーマンス予測によってROIの最適化を支援する。
開発の背景には、インフルエンサーマーケティングの役割拡大がある。
SNSや動画プラットフォームの普及によって、従来の認知拡大だけでなく、購買や継続利用までを含めたフルファネル施策(※)で事業成長を牽引する手法に進化しているという。
一方で、フォロワー数など単純な指標への依存や、担当者の経験則による選定、効果測定データの分散といった課題が残されていた。
こうした課題を解決するために開発された本プロダクトの中核となるのが、独自AI評価指標「IQS」である。
オーディエンスの熱量を示す「Passion」、ブランドとの親和性を測る「Contextual」、オーディエンスの真正性やコンテンツの安全性を担保する「Trust」、費用対効果を分析する「Budget」など計6つの観点を統合し、インフルエンサーを多角的にスコアリングする仕組みだ。
さらに、博報堂DYグループのマーケティング知見や実績データを組み合わせることで、ブランドとの高精度なマッチングを実現する。
今後はECやリテールメディアとの連携、LTVの可視化、事前ROI予測モデルの実装、画像解析AIを用いたブランドセーフティ機能の強化なども予定している。
※フルファネル施策:認知獲得から興味・比較・購入、継続利用まで、顧客行動の全段階を対象とするマーケティング手法。
AI評価が業界を変える可能性 成功の鍵は人との融合か
今回の取り組みは、インフルエンサーマーケティングを「経験と勘」の世界から、データにもとづく戦略的な投資へと転換させる可能性を秘めている。企業にとっては、起用の精度向上や広告費の最適配分が期待でき、施策ごとの成果を定量的に比較しやすくなる点は大きなメリットと言える。
一方で、AIによるスコアリングだけでは測れない価値も存在することは留意しておく必要がある。
独創的な発信力やコミュニティとの結び付き、その時々の社会的な空気感などは数値化が難しい側面もあるため、評価基準が画一化すれば、似たタイプのインフルエンサーに案件が集中する懸念もある。
また、SNSのアルゴリズム変更や流行の移り変わりによって、過去データを前提とした予測精度が低下するリスクも考えられる。
将来的には、AIによる客観的な分析と、人間のクリエイティブな判断を組み合わせる運用が必要となりそうだ。
博報堂DYグループが掲げるLTVやROIの可視化まで実現できれば、インフルエンサーマーケティングは単発の広告施策ではなく、長期的なブランド資産を育てる経営戦略の一部として位置付けられるようになるかもしれない。
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