株式会社ネットスターズは、カナダのAllScaleと日本におけるステーブルコイン決済の普及に向けた基本合意書(MOU)を締結したと発表した。
両社は実店舗で利用できる決済環境の拡大を目指し、ネットスターズが推進する「StarPay-X」構想のマルチウォレット化を進める方針である。
ステーブルコイン決済の実店舗展開へ協業
ネットスターズは2026年6月8日、企業向けステーブルコイン決済基盤を提供するAllScaleとの間で、ステーブルコイン決済の普及に向けた基本合意書を締結したと発表した。
今回の協業は、ネットスターズが推進する「StarPay-X」構想の一環として行われるものだ。
StarPay-Xは、Web2とWeb3の金融サービスをつなぐゲートウェイを目指しており、利用者が特定の技術やサービスに縛られず、用途に応じて柔軟に決済手段を選択できる環境の実現を掲げている。
協業の中心となるのが「マルチウォレット化」である。
利用できるウォレットの選択肢を広げることで、ステーブルコイン決済を実店舗へ導入しやすくし、利用者の利便性向上を図る考えだ。
さらに将来的には、企業間決済への活用も視野に入れている。
ネットスターズはこれまで、日本初となる米ドル建てステーブルコイン「USDC」を活用した店舗決済の実証実験を羽田空港で実施したほか、現在は姫路城近くのトレーディングカード専門店で第2弾の実証を進めている。
一方のAllScaleは、銀行口座や複雑な暗号資産管理を必要としないセルフカストディ型(※)のウォレット基盤を企業向けに提供している。
2026年4月にはカナダの飲食店向けアプリ「Bravo Rewards」と提携し、450店舗以上のレストランでステーブルコイン決済を利用できる環境を整備した実績を持つ。
なお、今回のMOUは協業方針を定めたものであり、現時点で具体的なサービス提供や導入時期が決定しているわけではない。
※セルフカストディ型:利用者自身が秘密鍵を管理する方式。金融機関や事業者に資産管理を依存せず、自ら資産を保有・管理できる特徴を持つ。
実用化進めば送金コスト削減も課題残る
今回の提携は、日本国内でステーブルコイン決済の実利用を拡大するうえで重要な一歩となる可能性がある。
ステーブルコインは価格変動が比較的小さいデジタル資産であり、国際送金や決済を低コストかつリアルタイムで実行できる点が強みとされる。
特にインバウンド需要が高い観光地や空港などでは、海外利用者が保有するデジタルドルをそのまま支払いに利用できる環境が整えば、決済の利便性向上につながると考えられる。
また、企業間決済へ応用できれば、従来の銀行送金で発生する手数料や着金までの時間を削減できる可能性もある。
グローバル取引が増えるなかで、24時間365日送金可能な仕組みへの期待は大きい。
一方で、普及には課題も考えられる。
一般消費者の多くは暗号資産ウォレットの利用経験がなく、操作方法や資産管理に対する理解を広げる必要があるだろう。
また、決済インフラや規制対応、加盟店側の導入コストなども普及速度を左右しそうだ。
それでも、ネットスターズが進める実証実験とAllScaleの海外導入実績が組み合わされれば、日本におけるステーブルコイン決済の実用化は一段と前進する可能性がある。
今回の提携は、Web3技術を日常の決済体験へ取り込む試みとして注目できる。
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