韓国のサムスン電子は、次世代AI向け高帯域幅メモリ(HBM)「HBM4E」のサンプル出荷を開始したと発表した。業界初となる12層積層モデルで、性能や容量、電力効率を向上させている。
サムスン、業界初のHBM4Eを主要顧客へ出荷
サムスン電子は2026年5月29日、主要なグローバル顧客向けに12層構造のHBM4Eサンプルの出荷を開始したと発表した。
2026年初頭に業界初のHBM4量産を実現した同社が、その発展版となる製品を市場へ投入した形である。
HBM4Eは安定動作時で14Gbps、最大16Gbpsまで拡張可能な転送速度を実現した。これは同社のHBM4と比較して20%以上高い性能となる。
さらに1スタック当たり最大3.6TB/sの帯域幅を備え、大規模言語モデル(LLM※)や高度なAI推論処理など、膨大なデータを扱う次世代システムを想定した設計となっている。
容量面では、今回発表された12層モデルが48GBを実現し、前世代比で30%超の増加となった。今後は8層32GBモデルや16層64GBモデルも投入予定であり、顧客の用途に応じた製品展開を進める方針だ。
製造技術には第6世代10ナノメートル級DRAMプロセスと、サムスンファウンドリーの4ナノメートルロジックベースダイを採用している。HBM4量産で培った技術を活用することで、生産安定性や歩留まりの向上も図った。
また、低消費電力設計やパッケージ構造の最適化により、前世代比で電力効率を16%、熱抵抗特性を14%以上改善した。
今後同社は、顧客との評価・最適化作業を経て量産へ移行する計画である。
※LLM(Large Language Model):大規模言語モデル。大量のデータを学習し、文章生成や推論を行う生成AIの基盤技術。
AI需要拡大の一方、生産能力確保が焦点に
近年のAIモデル大規模化に伴い、GPU単体の性能だけでなく、HBMの帯域幅や容量がシステム性能を左右するようになっていると考えられる。
そのため今回のHBM4E投入は、AI産業全体にとって重要な意味を持ちそうだ。
また、HBM4Eの電力効率や放熱性能の改善はデータセンター運営コストの抑制にもつながるため、導入企業にとっては大きなメリットとなるだろう。
一方で、最先端HBM市場では十分な生産能力を確保できなければ市場機会を取り込めないリスクがある。また、高性能化に伴う開発費や製造コストの上昇は、収益性や価格競争力に影響を与える可能性もある。
今後はHBM4Eの量産進展に加え、AI向けGPUメーカーやクラウド事業者との採用拡大が焦点となるだろう。
メモリ、ファウンドリー、先端パッケージングを一体で提供できるサムスンの強みが発揮されれば、AI半導体市場における競争力をさらに高められるかもしれない。
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