米テクノロジー大手のMetaは、FIFA World Cup 2026™に向けた安全対策の詳細を公表した。詐欺対策の強化に加え、AIを活用した誹謗中傷対策や利用者保護機能を拡充し、大会期間中の安全なコミュニケーション環境の構築を目指す。
W杯に向け詐欺・誹謗中傷対策を強化
MetaはFIFA World Cup 2026™を前に、FacebookやInstagram上での詐欺対策と誹謗中傷対策を大幅に強化すると、2026年5月29日に発表した。
世界的なスポーツイベントでは、チケット詐欺や偽宿泊情報、渡航手続きに関する虚偽オファーなど、詐欺行為が増加する可能性があるという。
同社は専門チームによる監視体制を強化するとともに、Global Signal Exchange(GSE※1)やFraud Intelligence Reciprocal Exchange(FIRE※2)を通じて業界横断の詐欺対策を推進している。
実際にVisaから提供された詐欺情報を活用し、FIFA World Cup公式ブランドを模倣した偽サイトへ利用者を誘導するネットワークを特定・排除した。これらのサイトは高い当選確率をうたうギャンブル関連コンテンツを宣伝し、個人情報や金融情報の入力を促していたという。
利用者向けの啓発施策としては、Facebookではチケット関連キーワードを検索した際に注意喚起のポップアップ表示を開始する。
正規販売元の利用を促すほか、不審なコンテンツやアカウントを通報できる機能への導線も設ける。日本語検索にも対応する予定だ。
選手やファンへの誹謗中傷対策では、AIを活用した違反コンテンツの検出を強化している。
Metaによると、2025年10〜12月期にはFacebookとInstagramで260万件のヘイトコンテンツを削除し、その74%以上を利用者からの通報前に発見したという。
さらにInstagramの「非表示ワード」機能やコメント・DMの制限機能、Facebookのモデレーション機能などを通じて、選手やファンが望まない接触を回避できる環境整備を進める。
※1 GSE:企業間で詐欺情報を共有し、オンライン詐欺の早期発見や対策を支援する国際的な情報連携プログラム。
※2 FIRE:Metaが主導する詐欺対策ネットワーク。法執行機関や業界パートナーとの情報共有を通じて不正行為の抑止を目指す。
安全性向上に期待 AI依存の課題も
今回の施策は、SNS上で発生する詐欺や誹謗中傷への対策を強化し、大規模イベント期間中の利用者保護を高める取り組みとして評価できる。
特に著名選手やチーム関係者は試合結果によって大量のメッセージやコメントを受けるため、自動フィルタリングや接触制限機能の需要は今後さらに高まる可能性がある。
また、詐欺対策においても単独企業ではなく、決済事業者や法執行機関との情報共有を進めることで、複数サービスにまたがる不正ネットワークへの対応力向上が期待される。
近年は生成AIによって偽サイトや詐欺広告の品質が向上しているため、防御側もAIを活用した対抗策を練ることが不可欠だろう。
一方で、AIによるコンテンツ監視には誤判定のリスクが存在する。
皮肉や文脈を含む投稿を不適切に削除したり、正当な議論が制限されたりする可能性は依然として残る。
また、悪意ある利用者が新たなアカウントを作成して対策を回避するケースも想定されるため、技術的な改善は継続的に求められそうだ。
FIFA World Cup 2026のような大規模大会では、その運営を支えるデジタル空間の安全確保も重要な課題となるはずだ。
今回の取り組みが成果を上げれば、今後の国際スポーツイベントや大型エンターテインメントイベントにおけるSNS安全対策の新たな標準モデルとなるかもしれない。
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