2026年5月22日、GMO ReTechは不動産管理会社向け「GMO賃貸DX 入居者アプリ」に生成AIを活用した自動返信機能を搭載すると発表した。2026年8月の提供開始を予定し、入居者対応の効率化と人手不足解消への貢献が期待される。
入居者対応をAIで自動化へ
GMO ReTechは、入居者からの問い合わせに対しAIが即時に回答する「AIチャット自動返信機能」の開発を進めている。2026年8月より提供予定であり、既存の「よくある質問」データを活用しながら、個別の質問に対して最適な回答を生成する仕組みだ。
本機能はRAG(※)を基盤としており、一般的な生成AIのように広範な知識から回答するのではなく、各不動産管理会社が保有する業務データに限定して応答する点が特徴である。これにより実務に即した精度の高い回答を維持しつつ、誤回答リスクを抑制できる設計となっている。
背景には、不動産業界における慢性的な人手不足と問い合わせ対応業務の負担増がある。従来の電話やメール中心の対応では効率化に限界があり、FAQ形式でも必要な情報にたどり着けないケースが課題となっていた。文章で質問すれば即座に回答が得られる仕組みへの転換は入居者の自己解決を促進し、業務負荷の軽減につながると考えられる。
※RAG:外部データベースなどから関連情報を検索し、それをもとに生成AIが回答を作成する仕組み。回答精度向上と誤情報抑制を目的に活用される。
業務効率化の切り札か AI活用の恩恵とリスク
今回の取り組みは不動産管理業務における「一次対応の自動化」を現実的に進める施策と位置づけられる。定型的な問い合わせの多くをAIが担うことで、担当者はトラブル対応や契約関連など付加価値の高い業務へ集中できるようになる可能性がある。特に中小規模の管理会社にとっては人的リソース不足を補う有効な手段となり得る。
一方で、AI活用には一定のリスクも伴う。回答範囲を業務データに限定する設計とはいえ、データの更新遅れや情報不足がある場合には不正確な回答につながる可能性がある。また入居者の多様な表現に対する理解精度が十分でない場合、期待通りの応答が得られないケースも想定される。
今後は「お知らせ」や過去の問い合わせ履歴、さらには業務マニュアルなどを参照対象に加えることで、回答精度の向上が図られる見通しだ。多言語対応の拡張も予定されており、外国人入居者への対応強化にもつながるとみられる。
生成AIを軸としたSaaS化が進む中で、本機能は単なる効率化ツールにとどまらず業務プロセスそのものの再設計を促す契機となる可能性がある。不動産管理の現場におけるAI活用は、今後さらに加速していくと言える。