米AmazonがAI企業Perplexityのショッピングエージェントによるアクセスを巡り、裁判所命令で制限に成功した。外部エージェント経由の購買では、小売業者が顧客の検索・閲覧などの行動データを把握しにくくなる可能性が指摘されている。
Amazon、AIエージェント遮断で対抗
Amazonは、PerplexityのAIショッピングエージェントが自社サイトを閲覧・スクレイピングする行為に対し、プライバシー侵害および広告事業への悪影響を理由に法的措置を講じた。2026年3月10日、裁判所は同社の主張を認め、当該エージェントによるアクセスを制限する命令を下している。
この問題の核心は、単なるトラフィックの奪い合いではない。
AIエージェントが購買導線を代替することで、小売業者は顧客の検索や閲覧といった行動データ(※)を自ら取得・把握できなくなる可能性があるという。
2026年4月2日に米メディアGLOSSYが公開した記事によると、IT大手シスコ(Cisco)のAIインフラストラクチャー・プロダクトリーダーであるサヤリ・パティル氏は以下のように述べている。
「消費者が外部のエージェントを通じて買い物をすると、小売業者は行動データの軌跡、たとえば、何が検索され、何が閲覧され、どれだけの時間そこに留まったかといった情報を失うことになる。」
※行動データ:ユーザーの検索履歴、閲覧時間、クリック傾向など、購買意思決定の過程で生成されるデータ。広告配信や商品改善の精度を左右する重要資産とされる。
利便性の裏で進むデータ主導権争い
AIショッピングエージェントの最大の利点は、商品比較から購入までを自動化し、消費体験を大幅に効率化できる点だろう。ユーザーは複数サイトを横断する手間を省き、最適な選択を短時間で得られる可能性がある。
企業側にとっても、新たな流入チャネルとして機能させれば販路拡大につながる余地はある。
一方で、エージェント経由の購買が一般化することで、小売業者が顧客の検索意図や意思決定プロセスを直接把握できなくなることは大きなデメリットだろう。これは売上減以上に深刻であり、商品開発や広告の精度低下を招くリスクがある。
また、AIがキャッシュデータを参照するケースでは、価格や在庫の不一致が発生しやすいと考えられるため、誤購入やトラブルの責任所在が曖昧になりそうだ。
今後は、利便性と信頼性の両立が普及の鍵となるだろう。データの帰属や責任範囲を明確化するルール整備が進まなければ、消費者・事業者双方の不信感は払拭されない可能性が高い。
プラットフォーム企業とAI企業の対立は、単なる技術競争を超え、顧客データという中核資産を巡る主導権争いへと発展していくと考えられる。
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