2026年4月8日、ZOZOは全社のAI活用度を測る独自指標「AZARS」を導入したと発表した。職種を問わない共通基準により、AI活用の可視化と組織的な高度化を同時に進める狙いである。
ZOZO、全社AI活用を統一指標で可視化
ZOZOは、全社員のAI活用度を評価する独自指標「All ZOZO AI Readiness Score(AZARS)」の運用を開始した。最大の特徴は、エンジニアと非エンジニアを区別せず、全職種共通の基準でAI活用を測定する点にある。
同指標は「個人AI活用レベル」と「組織AI活用レベル」の2軸で構成され、それぞれ4段階で定義される。個人については業務へのAIの組み込み度合いを、組織についてはAI前提の業務プロセスや意思決定が機能しているかを評価する仕組みだ。これにより、従来は主観に依存しがちだったAI活用の度合いを、統一基準で定量的に把握できるようになる。
同社はこれまで、全社員対象の生成AI研修や業務効率化ツールの開発、さらに「ChatGPT Enterprise(※)」の全社導入などを推進してきた。その結果、週1回以上の生成AI利用率は97%に達している。こうした高い普及率を背景に、次の段階として活用レベルの底上げと質の向上を図る必要があったとみられる。
今回のAZARS導入により、AI活用は単なる任意の取り組みから、全社的に管理・評価される対象へと位置づけが変化する。ZOZOは今後、「ファッション×テクノロジー」の強みを軸に、AIを前提とした価値創出の加速を目指すとしている。
※ChatGPT Enterprise:企業向けに提供される生成AIサービス。高いセキュリティと管理機能を備え、業務データを保護しながら高度なAI活用を可能にする。
評価指標化の効用と形骸化リスク
AZARSの導入は、AI活用を企業競争力の中核指標へと引き上げる試みといえる。全社員を同一基準で評価することで、AIは特定部門の専門領域ではなく、全社共通のインフラとして再定義される可能性がある。特に非エンジニア層においても、業務設計や意思決定にAIを組み込む能力の重要性が高まると考えられ、組織全体の生産性向上につながる余地がある。
一方で、評価指標の導入は数値達成の目的化を招くリスクも伴う。スコア向上自体が目的となれば、本来の業務改善や価値創出から乖離する恐れがある。さらに、組織レベルの評価は制度やプロセスの整備状況に依存するため、実態とのギャップが生じた場合には形骸化する可能性もある。
今後は、指標と実際の業績・価値創出との連動性が重要な論点の一つになるとみられる。AZARSが実効性を持って運用されれば、AI活用は「導入」から「評価・競争」へと進む可能性がある。他企業にも同様の指標設計が広がった場合、日本企業におけるAI活用の標準モデルが形成される展開も想定される。
関連記事: