楽天カード株式会社は、チャットサポートにおける品質改善を目的にAI検索システムを本格導入した。回答時間を約60秒短縮し、対応の正確性と効率性を同時に高める取り組みとなる。
AI導入でチャット回答を高速化
楽天カードは2026年4月7日、「楽天カードチャットサポート」にAI検索システムを導入したと発表した。運用も同日より開始されている。
従来はオペレーターが約2,000種類の回答テンプレートから適切な内容を選択していたが、今後はAIが最適な回答候補を提示する仕組みに移行する。
同社によると、この仕組みにより回答の迅速化が進み、最終的な回答時間は約60秒短縮される見込みだ。オペレーターはAIが提示したテンプレートをもとに対応するため、誤情報生成であるハルシネーションのリスクを排除しつつ、回答の正確性を維持できるとしている。
背景には、テキストベースの顧客対応の拡大がある。
スマートフォンやSNSの普及によりチャットでの問い合わせが一般化し、同社では2017年からチャットサポートを提供してきた。現在ではオペレーター対応のうち6割以上がチャット経由となっている。
また、カード発行枚数は2025年12月末時点で3,341万枚を超えており、問い合わせ件数も増加傾向にある。
一方でチャットとAIの活用により、電話問い合わせはピーク時から約6割減少しており、サポート体制の変化が進んでいる状況だ。
顧客対応の標準化と人材依存の転換
今回の仕組みにより、オペレーターの経験やスキルに依存していた回答品質を一定水準に引き上げる効果が期待できる。特にAIが最適な選択肢を提示することで判断のばらつきが減り、対応の均質化が進む可能性がある。
結果として、教育コストの削減や新人の早期戦力化にもつながると考えられる。
一方で、複雑な問い合わせや例外的なケースでは、AIの提示内容だけでは十分に対応しきれない場面が生じ得る。そのため、人間による補完がどこまで機能するかが運用上の課題となりそうだ。
また、AIによる支援が前提となることで、オペレーターの役割は「回答を考える」から「適切に選択・調整する」へ移行していくとみられる。
これは業務効率の向上が見込まれる一方で、スキルの質的転換を求める動きと捉えることもでき、評価指標の見直しが求められる可能性がある。
将来的に蓄積データの活用が進めば、顧客対応の自動化は一層高度化していくと考えられる。ただし、利便性を優先するあまり信頼性が損なわれるリスクもあるため、両者のバランスをどのように設計するかが、今後の顧客体験を左右する要素となるだろう。
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