災害時のSNS偽情報対策について、自治体の約4割が法規制の必要性を認識していると毎日新聞が報じた。
AIの高度化により虚偽情報の拡散が巧妙化する中、日本国内の防災情報の扱いに新たな課題が浮上している。
自治体4割が法規制必要と回答
2026年4月7日、毎日新聞は災害時にSNS上で拡散する偽情報への対応を巡り、都道府県と政令市の約4割が法規制の必要性を認識しているとするアンケート結果を報じた。
今回のアンケートは2026年2〜3月に実施され、47都道府県と20政令市の計67自治体が回答した。そのうち29自治体が、災害時のSNS上の偽情報対策として法規制が必要と回答し、「必要ない」との回答はゼロだったという。
明確な賛否を示さなかった38自治体からも、防止策の必要性を指摘する声が多く寄せられた。
背景には、過去の災害で実際に発生した混乱がある。2016年の熊本地震では「ライオンが放たれた」とする虚偽情報が拡散し、自治体や警察への問い合わせが殺到した。
2024年の能登半島地震でも、虚偽の救助要請が投稿され、警察が実際に出動する事例が確認されている。
また、SNSの収益化構造も問題視されている。閲覧数に応じて収益が発生する仕組みが、真偽不明の情報や不安をあおる投稿の拡散を助長するとの指摘が複数の自治体から挙がった。
規制案としては、収益化停止、投稿削除、アカウント凍結のほか、AI生成コンテンツへの表示義務などが提案されている。
規制と自由の両立が論点
今後の議論において最大の焦点となるのは、規制と表現の自由のバランスだと言える。
災害時の情報統制は人命に直結する一方で、過度な規制は市民の情報発信を萎縮させるリスクを伴う。
災害時のSNSは混乱の温床となりうる一方で、救助要請や現地情報の共有を支える重要なインフラでもある。そのため、偽情報対策を強化する際には、必要な発信まで萎縮させない制度設計が欠かせない。
また、AIの進化により偽情報の判別が難しくなっている点も重要だ。画像や動画の生成精度が向上することで、従来の目視による真偽判断は限界に近づいている。
悪意ある偽情報には厳正な対処が必要だが、災害時に広がる混乱は必ずしも悪意だけで生まれるわけではない。善意や正義感に基づく発信が結果として誤情報の拡散につながる場合もあり、対策は処罰の強化だけでは不十分だと考えられる。
制度と教育の両輪で対策を進めることが、今後の現実的な方向性と言える。
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