米脚本家組合(WGA)が全米映画テレビ製作者同盟(AMPTP)と4年間の暫定合意に到達したことが明らかになった。契約満了前の異例の早期決着であり、AI利用を巡る保護強化と報酬制度の見直しが焦点となっている。
WGAとスタジオ側が4年契約で早期合意
米脚本家組合が、ディズニーやNetflixなどが加盟する全米映画テレビ製作者同盟と4年間の暫定合意に達したと、米デッドラインが米国時間2026年4月4日に報じた。
契約満了を1カ月以上残した段階での決着であり、ハリウッドの労使交渉としては異例のスピードといえる。
今回の合意には、AI利用に関する保護強化、ストリーミング配信における報酬引き上げ、さらにWGAの健康保険制度への拠出拡大が含まれている。
ただし、詳細条件は現時点で未公表であり、正式発効には組合員投票が必要とされる。
背景には、2023年の大規模ストライキがある。
当時はAI活用と配信収益の分配を巡って交渉が決裂し、WGAは148日間にわたりストを実施した。俳優組合(SAG-AFTRA)も同時期にストに入り、映画やドラマ制作は大幅に停滞した経緯がある。
今回は交渉体制にも変化があった。長年強硬姿勢を取ってきたキャロル・ロンバルディーニ前代表に代わり、グレッグ・ヘシンジャー氏が就任し、3月中旬からの協議は協調的に進んだと報じられている。
AI時代の労使関係 安定と新たな緊張の両面
今回の合意は、AI活用が進む制作現場において一定のルールが明文化される契機となる可能性がある。創作者の権利が担保されることで、脚本開発の安心感は高まり、長期的な人材流出の抑制にもつながり得る。
また、交渉の早期決着という事実は、労使間の対立構造が一定程度緩和された兆しとも受け取れる。対話重視の姿勢が定着すれば、ストライキによる産業停止リスクは相対的に低下するだろう。
一方で、AI保護の強化は企業側にとってコスト増要因となりそうだ。配信プラットフォーム各社にとっては収益構造の見直しが避けられず、作品数の抑制や投資配分の再編に波及する可能性もある。
さらに、他のクリエイター団体に同様の条件を求める動きが広がれば、交渉の基準が事実上固定化される展開も想定できる。
中長期的には、AIに関するルール設計そのものが競争環境に影響し、保護と活用の均衡が問われる局面が続くと考えられる。
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