KDDIとローソンが、オフィス向け無人店舗「オフィスローソン」の実証を開始した。商品棚単位で設置できるユニット型店舗と専用アプリを組み合わせ、2027年度の事業化を見据えた新たな出店モデルである。
棚単位で設置可能な無人店舗を実証
KDDIとローソンは、東京都多摩市のKDDI多摩センタービル内に「ローソンS」を開設し、「オフィスローソン」の実証実験を2026年4月7日に開始した。
本店舗の最大の特徴は、商品棚(ユニット)単位で設置可能な「ユニット型店舗」である点にある。「米飯」「要冷商品」「日用品」など複数のユニットを組み合わせることで、オフィスのスペースや需要に応じた柔軟な店舗構成が可能となる。
また、大掛かりな配管工事が不要なため、低コストかつ短期間での開店を実現できるという。運営面では、商品補充や在庫管理を近隣店舗が担う仕組みが採用されている。
決済は専用の「オフィスローソンアプリ」によって完結する。
利用者は商品バーコードをスマートフォンで読み取ることでレジを介さず購入できるため、平均滞在時間は約2.5分(ローソン S KDDI高輪本社店の平均滞在時間)程度となり、短時間での購入が可能だ。
さらに、社員IDと連携することで、従業員向けにクーポンを配布できる機能も備えられている。
背景には、コロナ禍以降の出社回帰に伴うオフィス内消費ニーズの増加がある。既存のコンビニでは昼休みなど特定時間帯の混雑や、出店に伴うコスト・立地制約が課題となっていた。
今回のモデルはこれらの制約を解消し、さらなる利便性向上を狙うものである。
低コスト化とデータ活用の利点と課題
本モデルの最大のメリットは、出店ハードルの大幅な引き下げだろう。ユニット単位での設置により、小規模オフィスやこれまで採算が合わなかった拠点にも展開可能となれば、流通網の面的拡張が現実味を帯びる。
また、アプリを介した購買データの蓄積により、需要予測や商品構成の最適化、さらには福利厚生の高度化にもつながる点は大きな強みと言える。
一方で、無人化に伴うリスクも顕在化しそうだ。万引きなどの不正行為への対策や、スマートフォン操作を前提とした設計による利用者層の限定は、導入企業にとって無視できない課題となり得る。
また、近隣の既存店舗との競合や、従来型コンビニの売上への影響も慎重に見極める必要があるだろう。
今後、2027年度の事業化が実現すれば、コンビニは「店舗を構築する」から「機能を組み込む」へと転換が進む可能性がある。
オフィス内に最適化された小型・分散型の購買インフラが普及すれば、働き方と消費行動の関係性そのものが再定義されるかもしれない。
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