小田急電鉄は、小田急線全70駅にウェアラブルカメラを導入すると発表した。
駅係員が装着し、トラブルやカスタマーハラスメントへの対応を記録することで、安全性向上と適切な判断を支援する取り組みである。
全70駅でウェアラブルカメラ導入
2026年4月6日、小田急電鉄は小田急線全70駅において駅係員が装着するウェアラブルカメラを2026年4月16日から導入すると発表した。
導入台数は合計90台で、各駅に1〜3台を配備する計画となる。対象機器はLINKFLOW製の小型カメラで、胸部に装着し必要時のみ録画を行う運用とした。
主な使用場面は、駅構内でのトラブルや犯罪行為、カスタマーハラスメントなどの異常時対応である。
録画中であることを明示することで抑止効果を高めるとともに、事後の事実確認や関係各所への共有を迅速化する狙いがある。
加えて、巡回時に不審物や設備不具合を発見した際にも記録し、対応の精度向上につなげる。
録画データは駅長の管理下で保管され、目的外利用は行わないとされている。
また、約50時間分のデータ保存が可能で、容量超過時には古いデータから自動削除される仕組みを採用する。
さらに、緊急時にはALSOK非常ペンダントと併用し、外部への迅速な通報体制も構築する。
なお、本施策は2025年8月および2026年3月に世田谷代田駅で試行を実施し、即時起動性や装着安定性などを検証したうえで本格導入に至った。
安全強化と監視懸念の両面浮上
今回の取り組みは、駅係員の安全確保とサービス品質維持の観点から一定の効果が見込まれる。
特に、録画による証拠性の担保は、トラブル時の事実認定を容易にし、不当なクレーム対応の負担軽減につながる可能性がある。
また、録画の明示自体が抑止力として機能し、カスタマーハラスメントの発生頻度を低下させる効果も期待できる。
一方で、利用者側から見たプライバシーへの配慮は重要な論点となる。
録画範囲や使用条件が限定されているとはいえ、駅構内という公共空間での常時携行は「監視強化」と受け取られる可能性も否定できない。
データ管理の透明性や運用ルールの明確化が求められる局面となるだろう。
今後は、同様の取り組みが他鉄道事業者へ波及するかが焦点となり得る。
カスハラ対策が社会課題として顕在化する中、記録技術の導入は一つの標準施策となる可能性があるが、その普及には安全性とプライバシーのバランスをどう確保するかが鍵を握ると言える。
小田急電鉄株式会社 4月16日、小田急線全70駅で駅係員にウェアラブルカメラを導入
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