キオクシアホールディングスは台湾の南亜科技(ナンヤ・テクノロジー)に約774億円を出資すると発表した。SSD製造に必要となるDRAMの長期調達契約も締結し、供給の安定化を図る。
キオクシア、DRAM確保へ向け出資と契約
キオクシアHDは、台湾のDRAMメーカーである南亜科技(ナンヤ・テクノロジー)に対し、第三者割当増資を通じて156億台湾ドル(約774億円)を出資する。2026年3月25日に発表された。
発行済み株式の約2%に相当する7000万株を取得し、同年4月8日付で引き受ける予定だ。
あわせてDRAMの長期調達契約も締結し、安定供給体制の構築に踏み出した。
キオクシアはNAND型フラッシュメモリー専業であり、SSD(※)製造に必要なDRAMを自社で製造していない。今回の出資により、安定的にDRAMを調達する狙いだ。
なお、増資には米サンディスク、韓国SKハイニックス傘下のソリダイム、米シスコシステムズも参加する。ナンヤはこれらの調達資金を設備投資に充てる計画である。
※SSD:半導体メモリーを用いた記憶装置。HDDに比べ高速・低消費電力で、AIデータセンターなど大規模データ処理用途で需要が拡大している。
供給安定と依存リスクの綱引き
今回の出資により、キオクシアはAI需要の拡大に対応するための供給網を強化できるだろう。長期契約により価格の安定化が進めば、SSDのコスト予見性が高まり、データセンター向けビジネスの収益性改善につながる可能性がある。
また、ナンヤ側にとっても、資本受け入れによる設備投資加速は成長機会となりそうだ。
一方で、特定サプライヤーとの結びつきが強まることは、調達の柔軟性を損なうリスクも伴う。
DRAM市況は循環的に変動するため、将来的に価格が下落局面に入れば、長期契約が割高に作用する可能性も否定できない。複数調達とのバランス設計が重要になると考えられる。
中長期的には、AIデータセンターの拡大に伴い、SSDとDRAMの統合的な供給戦略が競争力を左右する構図が強まるとみられる。
今回の動きは、メモリ企業間の連携深化の一例であり、今後はより広範な資本・供給の結びつきが進展する可能性がある。
関連記事:
キオクシア、AIデータセンター半導体需要で純利益最大88.7%増
