鴻海精密工業が発表した四半期決算で29.7%の増収を記録したことが明らかになった。AI関連需要の持続が背景にあり、エヌビディアとの連携を軸としたAIインフラ拡大の影響が鮮明になっている。
鴻海、AIサーバー需要で大幅増収
台湾の鴻海精密工業は2026年3月16日、四半期決算を公表し29.7%の増収となった。
1〜3月期の売上高は2兆1300億台湾ドルとなり、市場予想の平均である2兆1400億台湾ドルにはわずかに届かなかったものの、高い成長率を維持している。
背景には、AIサーバー需要の拡大があるとされる。同社は米エヌビディアのAIアクセラレーターを搭載したサーバーの組み立てを担い、AIハードウエア供給網の中核を担っている。
アルファベットやアマゾン、マイクロソフトなど大手テック企業は、収益化への懸念を抱えつつも巨額の設備投資を継続する姿勢を崩していない。
鴻海はiPhoneやMacBookの組み立ても手がけており、これらの需要も売上の一部を構成している。
一方で、地政学リスクも同時に存在している。中東での紛争激化により海上輸送やエネルギー価格に圧力がかかり、電力消費の大きいデータセンター建設の急増に対する懸念も広がっている状況にある。
ブルームバーグ・インテリジェンスの分析では、AIサーバーラックの出荷は引き続き拡大しており、鴻海の売上は今後も伸びる見通しとされる。
また、垂直統合(※)とグローバル生産体制を背景に、複雑化するサーバー構成や各国での現地生産ニーズに対応できる点で優位性があるとしている。
※垂直統合:製品の設計から製造、組み立てまでの工程を自社で一貫して担う経営手法。供給網の効率化やコスト管理、品質向上に寄与するとされる。
AI投資継続の恩恵と過剰投資リスク
今回の決算は、地政学リスクが高まる環境下でもAI関連投資が継続している構図を示した点に意義があるといえる。企業のデジタル基盤強化は不可逆的な流れとなっており、短期的な外部環境の変化では止まりにくいと考えられる。
また、鴻海のようにサーバー製造と最終製品組み立ての双方を担う企業は、需要分散の恩恵を受けやすいとみられる。特定分野の減速があっても他領域で補完できるため、収益の安定性が相対的に高まる可能性がある。
ただし、クラウド大手が警告しているように、AIインフラへの過剰投資は中長期的なリスクとなり得る。需要の成長が想定を下回った場合、大規模な設備が余剰化し、収益性を圧迫する展開も考えられる。
今後は、AI投資が実際の収益創出にどの程度結びつくかが注目点となりそうだ。
ハードウェア需要の持続性は、AIサービスの収益化スピードと密接に関係しており、単なる設備拡大から実用段階への移行が鍵を握るとみられる。
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