日本の金融庁は、トークン化預金を活用した銀行間決済の実証実験支援を決定した。ブロックチェーン技術を用いた送金の実用性と法的論点を検証し、国内決済インフラの高度化を目指す取り組みとなる。
トークン化預金で銀行間決済を検証
2026年4月3日、金融庁は「FinTech実証実験ハブ」内の決済高度化プロジェクト(PIP)において、トークン化預金を用いた銀行間決済の実証実験を支援すると発表した。
支援対象はディーカレットDCP、GMOあおぞらネット銀行、アビームコンサルティングの3社である。
実証実験では、異なる銀行の顧客間でトークン化預金を送金する際の銀行間決済について検証が行われる。
具体的には、銀行間で開設した預金口座を利用する方法に加え、ステーブルコイン(※)を活用する方式も比較対象となる。実務的な有用性や実現可能性の確認が主な目的だ。
今回の案件はPIPとしては3件目、FinTech実証実験ハブ全体では14件目の位置づけとなる。
同ハブは2017年に設置され、フィンテック企業と金融機関の実証を後押ししてきた。2025年にはPIPが新設され、ブロックチェーンを含む決済高度化の検討が進んでいる。
実証期間は2026年4月から当面の間とされ、法令解釈やコンプライアンス上の論点整理も並行して進められる。実験終了後には、利用者向けサービス提供時の課題を含めた結果が金融庁のウェブサイトで公表される予定である。
※ステーブルコイン:法定通貨などに価値を連動させ、価格変動を抑える設計のデジタル通貨。主に決済や送金用途での利用が想定される。
決済効率化の利点と制度整備の課題
トークン化預金の銀行間決済が実現すれば、従来の送金プロセスに比べて処理の迅速化やコスト削減が期待できる。特に複数銀行をまたぐ取引では、中継処理の簡略化によって資金移動の効率が高まる可能性がある。
企業間決済でも、資金繰りの柔軟性を高める手段として機能する余地がありそうだ。
一方で、トークン化預金はデジタル台帳上で管理される特性を持つため、既存の勘定系システムとの接続や運用ルールの整合が課題となり得る。システム改修や標準化に伴うコスト負担も無視できない要素といえる。
また、預金としての性質を維持しながらトークンとして流通させる場合、資金決済法や銀行法との関係整理が不可欠となるだろう。利用者保護の観点からも、誤送金や不正利用時の対応ルール整備が必要になると考えられる。
それでも、銀行主導でデジタル通貨的な機能を持つ仕組みを構築できれば、ステーブルコインや中央銀行デジタル通貨との役割分担が進む可能性がある。
金融庁が示す論点整理が標準化の起点となれば、日本発のデジタル決済インフラが国際競争力を持つ可能性もあるだろう。今後の展開にも引き続き注目したい。
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