日本航空株式会社と東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)は、東北地域で二地域居住体験プログラムを開始すると明らかにした。新幹線利用者に対して航空マイルを付与する仕組みを導入し、交通手段の連携を図る取り組みとなる。
新幹線利用で航空マイル付与開始
2026年4月2日、日本航空とJR東日本は、東北地方を対象とした二地域居住体験プログラム「東日本、二地域暮らし」を同年6月から開始すると発表した。対象は青森・秋田・山形の6市町で、2027年1月末まで実施される予定である。
本プログラムは、両社の連携協定に基づき設立されたコンソーシアムによる実証事業で、関係人口(※)と定住人口の創出を狙う取り組みである。
国土交通省の「二地域居住先導的プロジェクト実装事業」にも採択されており、交通事業者の枠を超えたモデルケースとして位置付けられる。
特徴的なのは、新幹線での往復利用に対して、次回の航空移動に使えるJALマイルが付与される点である。対象路線の1往復相当分が付与されることで、実質的に航空移動の負担が軽減される設計だ。
さらに、滞在中には地域住民との交流や就業体験などを含む「つながり体験メニュー」も用意しており、単なる短期滞在にとどまらない関係構築を重視している。
募集期間は2026年4月13日から4月26日までで、定員は各自治体5名または10名、超過時は抽選となる。参加には一定の訪問回数の達成に加え、JALマイレージバンクおよびえきねっとへの登録など複数の条件を満たす必要がある。
※関係人口:移住者や観光客とは異なり、特定の地域と継続的に関わりを持つ人々を指す概念。地域外に居住しながらも、交流や仕事などを通じて関係を築く層を含む。
移動インセンティブが地方定住を変えるか
今回の仕組みは、移動コストという二地域居住の主要な障壁に直接働きかける点で、合理性の高い設計といえる。特に新幹線と航空の相互利用を前提とする枠組みは、広域移動の心理的ハードルを下げる効果が期待できる。
一方で、制度設計には一定の制約も存在する。
マイル付与というインセンティブは強力であるが、参加人数が限定的である以上、地域全体への波及には時間を要すると考えられる。継続的な財源設計も重要になるだろう。
それでも、交通事業者が主導して関係人口の創出に踏み込む動きは、新たな潮流として注目されそうだ。従来は自治体主導が中心だった領域に、民間インフラ企業が深く関与することで、より実効性のあるモデルへ進化する可能性がある。
今後は、他地域や他業界への横展開が焦点となるだろう。
特にデジタルノマドやリモートワーカーとの親和性は高いと考えられるため、働き方の多様化と連動すれば、地方と都市の関係性そのものを再定義する契機になり得る。
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