2026年3月31日、合同会社石狩再エネデータセンター第1号は北海道石狩市に再生可能エネルギー100%で稼働するデータセンターの竣工を発表した。IOWN接続を前提とした低遅延・省電力インフラとして、AI需要への対応を見据える国内プロジェクトである。
再エネ×低遅延通信の新拠点が竣工
合同会社石狩再エネデータセンター第1号は、2026年3月27日に同施設を竣工した。北海道石狩の再生可能エネルギーを100%活用する設計で、延床面積は約1万平方メートル、受電容量は最大15MWに達する。6つのデータホールと1140ラックを備え、大規模運用を前提とした構成である。
今後はフィットアウト工事を進め、2026年8月に一部データホールの稼働を開始する予定だ。初期段階で10MW超の受電体制を整え、その後15MWフル供給へ移行する計画となっている。AI需要の高まりを背景に、施設の拡張性も重視された設計となっている点が特徴である。
特に1つのデータホールは水冷・液冷対応の専用ルームとして整備され、高発熱のAI向けサーバーに対応可能だ。これにより、大規模言語モデルや生成AIの学習・推論基盤としての活用が想定される。
加えて、東京・大手町との接続にはNTT東日本のIOWN(※)におけるAll-Photonics Network(APN)が採用される。これにより、従来課題であった長距離通信に伴う遅延を抑えつつ、高速・大容量かつ低消費電力の通信環境を実現する見込みである。地方立地でありながら都市圏並みの通信性能を確保するインフラ構成となっている。
※IOWN:NTTが提唱する次世代通信基盤構想。光技術を中心に据え、高速・大容量・低遅延かつ低消費電力のネットワーク実現を目指す。従来の電子信号処理から光信号処理への転換が特徴。
電力制約解消と再エネ依存の課題
今回のプロジェクトは、AIインフラの成長を制約してきた電力と通信の課題に対する一つの解答となりうる。再エネ100%による運用は、脱炭素ニーズを持つ企業にとって導入のハードルを下げる要素となる。また、電力供給と通信基盤を一体で設計することで、効率的な運用モデルの確立が期待できる。
さらに、IOWNによる低遅延通信が実現すれば、データセンターの地方分散が加速する可能性がある。都市部への集中を避け、災害リスクや電力制約を分散する動きが進む中で、北海道のような冷涼地域は冷却効率の面でも優位性を持つと考えられる。
一方で、再生可能エネルギーへの全面依存には供給の不安定性という課題が残る。天候や発電状況に左右される電力を安定的に確保するには、蓄電や需給調整技術の高度化が重要になると考えられる。また、高度な通信インフラに依存する構造についても、障害時には影響範囲が拡大する可能性がある点には留意が必要である。
今後は、再エネと次世代通信を組み合わせたデータセンターが標準モデルとなる可能性がある。石狩の事例は、AI時代におけるインフラ設計の方向性を示す先行ケースとして、国内外からの注目を集める展開になると見られる。
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