東京大学の研究チームは、大型四足歩行ロボット「MEVIUS2」をオープンソースとして公開した。部品をEコマースで調達できる点が特徴だ。
大型4脚ロボを完全オープンソース化
東京大学次世代知能科学研究センターの河原塚健人講師らの研究グループは、大型4脚歩行ロボット「MEVIUS2」を開発し、すべてのハードウェアとソフトウェア、学習環境をGitHub上で無償公開したと2026年4月1日に発表した。
これにより、個人の研究者でも容易に大型で実用的な4脚ロボットを構築・改造できるようになり、不整地踏破や自律移動ロボットの研究開発が加速することが期待されている。
「MEVIUS2」は板金溶接と金属切削を活用した構造を採用しており、すべての部品をEコマースで発注可能にした点が特徴のロボットである。
これまでのオープンソース4脚ロボットは、3Dプリンタ製で強度に課題があるか、金属製でも小型に留まり実用性に乏しいものが中心だった。
一方、「MEVIUS2」は商用機に近いサイズと耐久性を持ち、LiDAR(※)やHDRカメラを組み合わせたマルチモーダル認識により、複雑な地形の踏破と詳細な環境把握を両立している。
実際に、階段昇降や不整地移動といった高度な動作を行えることが確認されている。
※LiDAR:レーザー光を照射し、反射して戻る光から距離や形状を測定するセンサ技術。自動運転やロボットの環境認識に用いられる。
開発民主化の加速と実装リスク
「MEVIUS2」の公開は、ロボティクス領域における開発の民主化を加速させる契機になりそうだ。
高価な専用機材に依存せず、汎用的な部品と公開データで実用機を構築できる点は、スタートアップや個人研究者にとって大きな利点となるだろう。特に、再現性の高い環境が共有されることで、強化学習や自律移動技術の研究速度は一段と向上すると考えられる。
一方で、ハードウェアのオープン化には特有の課題も存在し得る。
大型機の組み立てや運用には専門知識と設備が必要であるため、安全性の確保や保守体制の構築が不可欠となるだろう。また、高度な移動能力を持つロボットの設計情報が広く流通することで、用途によってはリスクが生じる可能性も否定できない。
今後は、こうしたオープンハードウェアが標準化や産業利用へと接続されるかに注目したい。ソフトウェア中心だったオープンソースの潮流が物理領域に拡張することで、AIとロボットの融合は新たな段階に進むかもしれない。
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