国内のゲーム企業DEAは、虎ノ門ヒルズで開催された「XU Conference 2026」にて、防災を社会実装へと転換する新プロジェクト「XU淳LABO」の始動を発表した。
ゲーミフィケーションを軸に、企業・行政・学生を巻き込む新たな共創モデルである。
防災を社会実装へ転換する新構想
社会課題解決型ゲーム事業を展開するDEAは、2026年3月20日に開催された「XU Conference 2026」に共創パートナーとして参画し、防災領域における新たな社会実装構想を提示したことを同年4月1日に公表した。
同セッションには田村淳氏や経済産業省、森ビル株式会社などが登壇し、産官学連携による次世代防災の方向性が議論された。
DEAの山田耕三社長は、防災が依然として「特別な備え」に留まっている現状に対し、従来の善意依存モデルの限界を指摘した。
また、その打開策として、「ゲーミフィケーション(※)の知見を活かし、『自発的な楽しさ』を動機付けの軸に据えることで、初めて持続可能な社会実装が可能になる」と述べた。
具体例として、市民参加型インフラ点検ゲーム「PicTrée」のユーザーが遊びながらインフラを撮影・点検する仕組みを、有事の際の共助の基盤として転用するロジックが紹介された。
さらに、田村淳氏らと共同で、キャンパスを持たない分散型プロジェクト「XU淳LABO」の始動が宣言された。
同プロジェクトでは、固定の校舎を持たず、日本全国にあるパートナー企業の会議室や実験場をそのままキャンパスとして活用するという。
田村 淳氏のプロデュースのもと、学生が自ら情報発信拠点となり、防災テックの認知拡大と地域活性化の新しいモデルを創出する方針が取られる。
また、学生たちの柔軟なアイデアや企業の最先端技術、行政の支援をその場で連携させ、研究成果を即座に社会へ実装する新たなプラットフォームとして展開される予定だ。
※ゲーミフィケーション:ゲームの要素や仕組みをゲーム以外の分野に応用し、人の行動や参加意欲を高める手法。ポイントや報酬、競争などを活用し、継続的な関与を促す設計が特徴。
参加型防災の可能性と課題
今回の取り組みは、防災への参加ハードルを大きく下げる可能性を持つ。
ゲームを通じた体験設計により、これまで関与が限定的だった層の参加を促進できる点は大きなメリットとなるだろう。
特に若年層の巻き込みや、地域コミュニティの再活性化といった副次的効果も期待できる。
一方で、ゲーミフィケーションは短期的な動機付けには強いが、長期的な行動変容に直結するとは限らない。
報酬設計や体験の質が不十分であれば、継続率の低下や形骸化を招くリスクもある。実用性と娯楽性のバランス設計は今後の重要課題となりそうだ。
また、産官学の共創モデルは柔軟性が高い反面、意思決定の複雑化や責任範囲の曖昧化を引き起こす可能性がある。
特に社会実装フェーズにおいて、運用体制や評価指標の整備が不十分であれば、成果の再現性や拡張性に課題が残るだろう。
それでも、防災を「義務」から「体験」へと転換する方向性は、持続可能な社会インフラの構築において重要な一歩となり得る。
「XU淳LABO」が実証と改善を繰り返しながらモデルを確立できるか、引き続き注目したい。
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