2026年3月31日、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、従業員のIT利用におけるストレスを可視化するDEXプラットフォーム「Nexthink」の国内提供開始を発表した。複雑化するIT環境の中で、従業員体験と業務効率の同時改善を狙う動きである。
ITの使いにくさ可視化 DEX提供開始
CTCはスイスのNexthink社とパートナー契約を締結し、DEX(※)管理プラットフォーム「Nexthink」の提供を開始した。従業員が利用するPCやアプリケーション、ネットワークの状態をリアルタイムで分析し、「使いにくさ」やストレスを定量的に把握できる点が特徴である。
同サービスは、WindowsやMac、仮想デスクトップ(VDI)、モバイル端末など幅広い環境に対応する。端末のレスポンス低下やエラーといった挙動を自動収集し、影響を受ける従業員数や業務への影響度、想定される原因をダッシュボード上で可視化する仕組みだ。
さらにAIによる分析により、アプリ設定の修正や再起動といった対応を自動で提案・実行し、従業員自身による問題解決を支援する。これにより、IT部門が問い合わせを受ける前の予防的対応が可能となり、運用負荷の軽減にもつながるとされる。
CTCは構想策定からPoV(価値検証)、導入、運用までを一貫して支援する方針であり、すでに国内製造業で数百台規模の検証を実施している。今後は自社のAI PC環境と組み合わせ、IT運用と業務の最適化を進める考えで、関連ビジネスを含め3年間で26億円規模の売上を目指す。
※DEX(Digital Employee Experience):従業員がIT環境を利用する際の使いやすさや快適さなどの体験を指す概念。業務効率や満足度に直結する指標として注目されている。
DEX普及の利点と監視リスク 競争力の新軸に
DEXの導入は、IT運用を「システム中心」から「従業員体験中心」へ転換させる可能性がある。従業員の不満やストレスを可視化できれば、問題の早期発見と先回り対応が実現し、結果として生産性向上やサポートコスト削減につながると考えられる。
また、データに基づく継続的な改善が可能となることで、デジタルワークプレイス全体の質が底上げされる可能性がある点も注目される。特にハイブリッドワークが常態化する中、IT環境の最適化は企業競争力の基盤として重要性を増しつつあると見られる。
一方で、端末操作や利用状況の詳細な収集は、従業員から監視強化と受け止められるリスクをはらむ。可視化が進むほど、データの取り扱いや透明性確保、プライバシー配慮が不可欠になるだろう。
今後は、DEXを単なるIT管理ツールにとどめず、人材戦略や働き方改革と統合できるかが焦点となる。可視化された体験データをいかに意思決定に活かすかは、企業の持続的成長に影響を与える重要な要素となる可能性がある。
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