2026年3月31日、アステリアとハウディ・クリプトは、企業向けJPYC管理サービス「JPYC Gateway」と国産ハードウェアウォレット「Openloop」の業務提携を発表した。
企業における秘密鍵管理の安全性を高め、ステーブルコインの実務利用を加速させる狙いだ。
JPYC管理に国産ウォレット連携
今回の提携では、アステリアが提供する「JPYC Gateway」に対し、ハウディ・クリプトのハードウェアウォレット「Openloop」を連携させ、企業向けにセキュアな秘密鍵(※)管理環境を提供する。
送金時にはデバイス上でトランザクション内容を確認し、物理的な操作を伴う承認を経て署名が行われる仕組みを採用している。
JPYC Gatewayは2026年4月1日に提供開始予定で、基本使用料は月額98,000円、送金手数料は1件あたり8円とされる。
既存のERPや会計システムとノーコードで連携可能な点も特徴であり、企業の業務フローに組み込みやすい設計となっている。
背景には、日本円建ステーブルコインJPYCの普及拡大がある。
2025年10月の発行開始以降、2030年には約30兆円規模に達するとの予測も示されており、企業利用の需要が高まっている。
一方で、秘密鍵管理の安全性確保は大きな課題であり、特に企業環境では漏洩や不正アクセスが直接的なリスクとなる。
OpenloopはEAL6+認証のセキュアエレメントを搭載し、独自の二重暗号化技術により高い耐攻撃性を実現する。
国内で開発・サポートされており、日本市場への対応を前提とした設計となっている。
※秘密鍵:暗号資産の所有権を証明し、送金時の署名に使用される重要な情報。漏洩すると資産の不正移転につながるため、厳重な管理が必要とされる。
企業決済の標準化進む一方で運用課題も
今回の取り組みは、企業におけるステーブルコイン運用の標準化を後押しする可能性がある。
特に、物理デバイスによる承認を前提とした設計は、不正送金リスクを抑制しつつ、内部統制の強化にも寄与すると考えられる。
ERP連携や低コスト送金と組み合わせることで、実務レベルでの活用ハードルは大きく下がる見通しだ。
企業が実証的にステーブルコイン運用を試行できる環境が整うことで、ユースケースの蓄積が進むとみられる。
一方で、ハードウェアウォレットの運用には物理管理やデバイス紛失リスクといった課題も残る。
企業内での権限管理やバックアップ体制の設計が不十分であれば、逆に業務の複雑性を高める可能性もある。
今後は、AIエージェントによる自動決済やスマートコントラクト連携が進む中で、安全性と利便性のバランスが一層重要になるだろう。
今回の提携は、企業向けステーブルコイン基盤の実用化に向けた一歩であると同時に、運用設計の高度化が求められる段階に入ったことを示す動きとも言える。
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