レバレジーズの調査によると、若手社員のキャリア相談先としてAIの存在感が急速に高まっていることが明らかになった。約半数がAIに相談経験を持ち、その主因は「否定されない安心感」であるという。
若手の半数がAIにキャリア相談
2026年3月24日、レバレジーズが運営する就職支援サービス「ハタラクティブ」による調査が公表され、若手社員のキャリア観に関する実態調査が示された。
調査によると、20代社員595人のうち48.7%が生成AIにキャリア相談をした経験があると回答したという。さらに「よく相談する」とする層も25.7%に達しており、AIが日常的な意思決定の補助ツールとして浸透しつつある実態が浮かび上がった。
相談理由として最も多かったのは「否定されずに話を聞いてもらえる」(37.2%)であり、次いで「24時間いつでも即時に回答が得られる」(31.4%)、「本音を匿名で吐き出せる」(19.7%)が続いた。
これは生成AIが持つ対話特性、すなわちユーザーの発言を受容的に処理する設計が心理的安全性を高めていることを示唆する。
一方で、職場環境の側にも課題がある。「相談体制が十分に整っている」と回答したのは21.0%にとどまり、「形骸化している」「誰に相談すべきか分からない」といった回答が過半数を占めた。
さらに、キャリアの本音を話せる相手として「上司よりAIを信頼する」との回答も26.5%に達しており、従来の上司—部下関係の機能低下が進んでいる可能性がある。
AI相談が組織構造を揺るがす可能性
生成AIがキャリア相談の主要チャネルとなることは、AI特有の利便性が若手に浸透していることを示すものだ。
否定や評価を伴わない対話環境は心理的負荷を軽減し、思考整理や初期的な意思決定を支援する機能を持つ。また、時間や場所に依存しないアクセス性は、従来の人的相談資源を補完する役割を果たしていると考えられる。
しかし、この傾向は組織にとって構造的なリスクも孕む。第一に、上司や同僚との対話機会が減少することで、暗黙知や経験知の継承が阻害される可能性がある。
第二に、AIはあくまで統計的生成モデルであり、個別の組織文化や非言語的文脈を十分に反映できないため、現実との乖離を生むリスクも無視できない。
さらに、AIへの依存が進むことで、意思決定プロセスが外部化される点にも注意が必要である。個人の判断がAIの出力に過度に依拠する場合、主体性の希薄化や責任の所在の曖昧化につながる可能性がある。
今後は、AIを補助的ツールとして位置づけつつ、組織内での対話やフィードバックの質を再設計することが、人的資本の維持に不可欠となるだろう。
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