2026年3月27日、日本の株式会社デジタルアセットマーケッツは、金融庁の「FinTech実証実験ハブ」支援案件として進めるAML高度化プロジェクトへの参画を発表した。
日立製作所など計16社が参加し、デジタルアセット取引における新たなAML体制の確立を目指す。
AML高度化へ16社連携実証始動
本プロジェクトは、暗号資産やステーブルコインなどのデジタルアセット取引におけるアンチ・マネーロンダリング(AML)(※)対策の高度化を目的とした共同実証である。
金融庁のFinTech実証実験ハブの支援案件として、2026年2月27日に正式採択されており、民間主導による横断的なAML対応モデルの構築が進められている。
従来、AML対応は各事業者が個別に実施しており、システム投資や人的リソースの負担が大きいという課題があった。
これに対し本実証では、複数の事業者および技術提供者が連携し、リスク検知やモニタリングに関するデータやノウハウを共有する枠組みの有効性を検証する。
詐欺や不正取引の早期検知、被害拡大の抑止を図るとともに、情報共有の範囲や個人情報保護といった法的論点の整理も進める方針である。
実証期間は2026年3月から5月までを想定しており、デジタルアセットマーケッツはプラットフォーム機能の試行と評価を担う。
各金融機関やSIerとのデジタルアセット関連の連携を深める中、AML高度化の効果を評価し、参加することを決定したという。
※AML(アンチ・マネーロンダリング):犯罪収益の資金洗浄を防止するための対策。金融機関や暗号資産事業者は、顧客確認や取引監視を通じて不正資金の流入を防ぐ義務を負う。
共同化進展で効率化も法規制課題
本実証の意義は、AML対応の「共同化」による効率性向上とリスク管理の高度化にある。複数事業者が情報を横断的に活用することで、不正取引の検知精度が向上し、個社単位では把握しきれなかったリスクの可視化が進む可能性は高い。
結果として、デジタルアセット市場全体の信頼性向上につながることが期待される。
一方で、情報共有の拡大は新たなリスクも伴う。特に、個人情報や取引データの取り扱いについては、プライバシー保護や法令遵守の観点から慎重な設計が求められる。
また、共同基盤の標準化が進まない場合、参加企業間での責任分担や運用ルールの不整合が課題となる可能性も否定できない。
今後は、実証結果を踏まえた制度設計や業界標準の形成が進むかが焦点となるだろう。
デジタルアセットの普及が進む中、AML対応の高度化は市場拡大の前提条件となりつつあり、本取り組みの成否が国内Web3インフラの成熟度に影響を与える可能性がある。
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